第58回:若手社員とのコミュニケーション

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第58回:若手社員とのコミュニケーション

2015年6月23日

【質問】わが社は総合物流企業を目指し、業務品質の向上に取り組んでいます。特に人材の採用と社員教育に力を入れていますが、せっかく採用した若手社員がすぐに辞めてしまうことがあります。辞める理由もあいまいで、管理職が若手社員との付き合い方に戸惑いを感じています。価値観の違いなのでしょうか? 注意点があれば教えてください。


 管理職が若手社員とのコミュニケーションに苦手意識を持っているという話を時々聞きます。以前は上司・部下の上下関係が確立し、管理職は業務指示を出していれば仕事が回っていました。最近は、仕事の中身を丁寧に教え、手とり足とり指導しないと動いてくれない。少し注意をすると、急に不機嫌になり、仕事への集中力を失う。ミスを指摘しただけで翌日から出社しなくなる。管理職自身の体験から見れば全く些細なことなのに、部下の反応が予想外に極端なので、管理職は理解できず戸惑うばかりです。若手の指導が面倒な業務になってきたという声もあります。


 最近の若手社員によく見られる特徴は次の10項目と言われています。


 (1)コミュニケーションが苦手(2)自己表現をしない(3)打たれ弱い(4)自分が基準である(5)失敗を極端に恐れる(6)根はまじめで素直(7)常に与えられることを待ち、言われたことしかやらない(8)答えは自分で考えずに人に聞く(9)根拠のない自信を持っている(10)成長意欲は高いがなかなか行動に結びつかない、などです。


 管理者の目から見た否定的な事柄ばかりが並びますが一方で、検索能力が極めて高い、情報収集力が優れている、など特にWeb活用能力において素晴らしい力を発揮します。幹部社員が生き抜いてきた時代と比較すると、若手社員が育った時代は社会環境が異なり、価値観が違うのは当然とも言えます。


 ところが、若手社員が上司の管理者に何を求めているかというと、意外にも次の5項目が多いとのことです。


 (1)上司の言動が一致している(2)上司が仕事に情熱を持っている(3)プライベートを大事にする(4)成果を挙げており、上役から評価されている(5)リスクを恐れず常にチャレンジしている、が上司のベスト5ということです。まるで上司が部下に期待する内容のようです。


 若手社員が上司に求めているのは、仕事に前向きで、真剣に取り組み、周囲から信頼される理想的な社員像です。価値観は多少違っていても、管理職と若手社員は仕事に対しての取り組み姿勢に大きな違いがないのかもしれません。一般的な若手社員の本音は、おおむね次のようなことなのでしょう。


 「自分は成長したいという気持ちはあるし、頑張るつもりだ。仕事のやり方を教えてくれたら自分なりにきちんとやる自信はある。信じてほしい。言葉での表現や自己主張は苦手なほうなので、そこは少し察してほしい。ミスもあるが、感情的に怒られるのは耐えられない。時々は褒めてもらうとやる気が出るのだが。プライベートは大切にしたい」


 すべての若い社員がそう思っているとは言えませんが、このことを頭において接すれば、出社拒否やすぐに会社を辞めるという極端な行動を避けられるでしょう。若手社員の思いを配慮していれば、上司は毅然とした自然な対応で良いのだと思います。


(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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