第50回:ドライバーを採用しやすい給与体系とは

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第50回:ドライバーを採用しやすい給与体系とは

2015年3月 3日

【質問】わが社の最大の悩みはドライバーがなかなか集まらないことです。ドライバーを採用しやすい給与体系があれば教えてほしいのですが。


 「ドライバーが採用できない」という声は運送業界全体に共通する悩みです。採用対策は給与だけではありませんが、今回のご質問は給与体系についてです。


 給与は、ハローワークに提出する「求人申込書」の中で最も関心が高く、重要な項目です。以前は多くの運送会社が出来高給一辺倒でしたが、今は採用しやすい給与体系を検討することが重要な時代になりました。


 私の経験では、ドライバー経験者の採用にこだわる会社ほど人手不足に悩まされているという共通点があります。採用に成功している運送会社の社長は「うちは人付き合いが苦手な未経験者を敢えて採用している。彼らはおとなしいけど指示したことはよく聞くし、よく働き、ミスもない。人付き合いは苦手だが、安心して任せられる」と言われます。また、本コラム「(19)事故をなくす洗車の効用」でご紹介した、10年間増益中の素晴らしい運送会社も、採用は未経験者だけと決めています。社長は「前の会社で変な仕事の癖がついていないほうが良い」という信念です。事務や営業活動が少なく、「物流業は自分に向いている」と考える優秀な人材もいるのです。


 では、運送業未経験者を採用するには、どうすればよいでしょう。未経験者には「運送業は仕事がきつく、長時間労働、賃金は歩合で不安定」というイメージがあります。求人申込書は「基本給」の項目が最重要で、安定感が必要です。そこで会社の給与体系を2本立ての選択制にします。採用時点では基本給を高めにして日給月給の固定給にする。手当も住宅、通勤など他業種で一般的に見られる手当を付ける。時間外手当の定額支給を検討しても良い(もちろん時間管理の上、残業不足分は追加支給となります)。


 ドライバーは経験を積んでくると、仕事量を給与に反映してほしいと望む傾向が出てきます。そこで、別の給与体系をもうひとつ作ります。成果給にウエートをおいた給与体系です。基本給や諸手当は減りますが、成果給で給与額全体は増える仕組みです。業務効率が高いドライバーは固定給よりも高い給与をもらえます。この複数体系は選択制が条件になります。採用するための工夫は給与体系だけではありません。次の事項も併せて実行してください。


 (1)会社のホームページを働きたくなるような魅力的なものにする。(この会社なら自分に合いそうだと思わせる)(2)「求人申込書」の給与以外項目を、応募したくなる魅力的な記述にする(厚労省発行の「求人申込書の書き方」に、応募を増やす書き方の工夫が記載されています。参考にしてください)(3)常に洗車を心掛け、きれいな車両にしておく(応募者は街中を走る貴社の車を見ています)(4)制服は清潔感のあるものにする(あの服は毎日着たくないと思わせない)。


(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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