第49回:運送会社の強い組織の作り方

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第49回:運送会社の強い組織の作り方

2015年2月17日

【質問】当社は社員数30人の中小運送業です。管理職を含めて自分のことだけやれば良いと考えている社員が多いと感じています。ぬるま湯体質を脱し、何とか強い組織に変えたいと思っています。運送会社の組織はどのように作ればよいのでしょうか。



 20年以上にわたり運送会社の相談に応じていますが、この質問は管理者研修の実施にあたり、よく聞かれる事項です。管理者になってもドライバーの意識が抜けていない、自分のことだけ考えており部下を指導育成することが管理者の仕事だという意識が低い、そこをぜひ強調して教育して欲しい、という依頼です。


 「組織論」の本は書店に行けば多くの書籍があります。しかし、その内容はメーカーなど他業種に合うものが大半です。運送業のように、常時社員が社外で働き、労働時間もバラバラ、仕事内容も人ごとに違い、安全など即時の判断が必要、という業態にはうまくあてはまりません。


 そもそも、管理者といっても実態はプレイヤーの仕事が大半なのです。このような業態では極力シンプルな組織を作り、経営者の考え方や指示事項が即座に末端まで伝わることが一番望ましいのです。他業態のようなピラミッド型組織で各職位に職務権限を限定し、下から順番に上に報告が上がる組織は向きません。途中で血管が詰まり、動脈硬化を起こしてしまうのです。特に、安全管理が最重要な運送業では、この組織は命取りになります。


 では、運送会社の組織はどう作ればよいのでしょうか。運送業で最も強い組織は、末端のドライバーや作業員を身近で管理する班長・リーダークラスが十分に機能している姿です。そのためには、社長と社長を補佐する役員がまずしっかりとタッグを組むこと。その下に業務部、物流センター、総務部など部門別の統括管理者を置く。統括管理者は経営者として社長と直結し、経営にスピード感を出すことが必要です。毎日、社長とコミュニケーションをとり、報告・連絡を密にしなければなりません。その下に課長や課長代理など、幾層も管理者を置くのは運送業には全く向きません。極力シンプルにして、班長・リーダークラスに思い切って権限を委譲するほうが強い組織になります。


 そして、最大注力すべきはリーダー会議の運営や班長クラスの意識づけです。「君たちは社員の代弁者ではない。管理者としての役割を認識し実行してもらいたい」。日頃から役割と責任について繰り返し指導することが重要です。現場に経営感覚を植え付けることが大事なのです。


 リーダーには責任に応じた手当の処遇も検討してください。運送会社の強さは現場のリーダークラスの責任感と意識の高さ、実行力によって決まるのです。


(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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