第47回:伸びない会社はどこが問題なのか

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第47回:伸びない会社はどこが問題なのか

2015年1月20日

【質問】中小運送業の中で業績が伸びている会社と伸びない会社があります。伸びない会社はどこが問題なのでしょうか?


 ある中小運送会社A社のことです。私が以前に訪問した時、先代と二代目の社長が言い争っていました。先代は「長年、取引いただいている荷主を切るとは何事か」、二代目は「このままでは荷主と共倒れになる。効率を上げるためだ」。長年、低運賃を我慢し、赤字経営を続けていました。二代目は「これ以上の取引継続は無理だ。保有車両をもっと効率よく稼働させることが必要だ」と主張しました。同業者と連携して共同配送を始めたいと考えていたのです。

 結果はどうなったでしょう。二代目の判断は正解でした。一時的に売り上げが落ち込みましたが、その後は取引先を次々に開拓し、大きく業容を伸ばしました。地域で代表的な会社になったのです。最近、セミナーの場でお会いした時も自信に満ちた二代目の笑顔がありました。

 運送業界には伸びている会社と伸びない会社があります。伸びない会社の典型的な共通点は「チャレンジしない」ことです。現状を変えることを避け、現状維持が安定につながると信じている会社です。

 別の会社で次のような事例があります。B社は社歴が長く、車両台数、売り上げとも中規模以上の運送会社でした。ところが、経営者の代替わり後に業績が低迷しました。私が訪問した時、社内には倦怠感が漂っていました。社長は「最近、厳しい状況で...」と話し始めました。

 社員が不満ばかり言うので困っていると言うので、私は「社内の管理書類や規程類を見せてください」と言いました。拝見すると「全くルールができていない」状態でした。「改善というより、まず整備するところから始める必要がある」と伝えました。社長は「それは必要ですか。社員に説明するのが大変だな」と及び腰です。他社の例を挙げて必要性を説明しても「うちはまだ大丈夫でしょう」と、何を言っても無駄。整備の必要性は理解しても、社員への説明は苦手だというのです。

 伸びない会社の特徴は「改善点を先延ばしにする」ことです。さらに言えば「社員を注意しない」ことです。社員が働かず、権利主張ばかりする時、経営者は毅然と注意します。ところが、伸びない会社は注意しないのです。教育指導が苦手な会社は伸びていません。

 業績の良し悪しは様々な要因で決まります。営業力や提案力、保有設備、資金力、その他諸要因があります。しかし、伸びない会社の共通点は意外と足元の経営姿勢にあると思います。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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