第44回:荷主アンケートは本当に有効なのか

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第44回:荷主アンケートは本当に有効なのか

2014年12月 9日

【質問】荷主アンケートを実施している運送会社があると聞きますが、効果はあるのでしょうか? 本当に有効ならば当社でも検討したいと考えています。その場合のやり方についても教えてください。


 中部地方に所在する中堅運送会社は毎年、荷主アンケートを実施しています。毎年1回、荷主であるメーカーの物流管理担当者に向け、文書でアンケート依頼を出しています。

 内容は、まず日頃のお礼から始まり、「弊社の物流品質改善に結び付けるため、ご多忙中恐縮ながらアンケートに協力していただきたい」との趣旨がコンパクトに書いてあります。そして別紙で1枚、アンケート用紙が添えてあります。切手を貼った返信用の封筒も添えられており、あて先は社長になっています。アンケートの回収はドライバーや営業に任せず、直接、経営者あてに来る仕組みにしています。

 アンケート用紙には、(1)弊社のドライバーの勤務態度、作業状況について気になる点はありませんか(2)あいさつや服装について気になる点はありませんか(3)弊社の車両その他で気になる点はありませんか──など、主に作業品質に関する項目が8項目ほど書かれています。そして一番下には「もし評価いただいている乗務員がいれば記載してください。車番で記載いただければ結構です」と書いてあります。

 その会社は、アンケートで荷主に評価された従業員を後日表彰し、全体会議でその業務姿勢を称える仕組みにしています。この運送会社が荷主アンケートを実施している理由は何でしょうか? それは第一に、荷主の潜在的な不満を早期につかみ、クレームになる前に対処するためです。そして第二に、アンケートを実施していることが自社の従業員の意識づけとなり、顧客対応や作業の緊張感につながり、物流品質の維持に結び付くと考えているからです。実際に荷主から評価され、社内表彰を受けることが従業員の大きな励みになっているそうです。

 最後に、荷主への自社アピールにも有効、との思いがあります。アンケートは荷主に負担ではないか、嫌がられるのでは、との懸念もあったようですが、荷主側も物流品質向上に関心が高く、積極的に対応してくれたようです。アンケートの有効性は、それをどう生かすかにかかっていますが、この会社のようにアンケートを実施している会社は、概ね荷主から信頼を得て、経営が安定しているケースが多いといえます。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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