第41回:高齢者の賃金の決め方

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第41回:高齢者の賃金の決め方

2014年10月28日

【質問】65歳までの雇用義務化に伴い、高齢者の賃金をどう決めればよいか教えてください。定年前の給与を維持しなければいけないのでしょうか?


 本年4月から高年齢者等雇用安定法の改正により、希望する社員は原則、全員を65歳まで雇用することが義務化されました。ただし、この法律は賃金の決め方について規定しているものではなく、労使で合意すれば、どのような処遇体系にするかは会社の自由です。

 一般的に定年を過ぎて継続雇用する場合は、再雇用の労働契約を結び、従来賃金の6~7割程度に減額している会社が多いようです。在職老齢年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給する前提で、賃金を減額しても本人の手取り額が大幅に減らないように計算して決めているのです。

 ただし、今後は無年金の期間が発生します。年金を受給するまでは従来よりも手取り額が減りますので、補填する必要がでてきます。この場合、継続給付の額に影響しない賞与などで一定額を補填する会社もあるようです。無年金期間の賃金シミュレーションをしてみると良いでしょう。なお、高齢者の雇用義務化に伴い、賃金制度全体の整備も同時に検討する必要があります。

 現在、運送会社では人材不足が深刻になっていますので、優秀なドライバーには定年後も引き続き活躍してもらう必要があります。そのためには一律に定年前の6~7割に賃金減額するのではなく、期待する役割に応じて処遇を決める制度が求められます。

 中核人材として管理業務を含めてバリバリと働いてほしい人には定年前と同様の賃金で処遇し、体調を見ながら無理なく働いてほしい人には勤務時間を再設定したうえで減額した賃金にするなど、複数の体系を導入すると良いといえます。また、本人のやりがいと生産性の維持のためには引き続き、業績や勤務評価を組み入れた処遇体系が望まれます。

 また、総人件費の膨張を防ぐ観点からは、社員の人生設計に応じて55歳ごろから徐々に賃金を抑えて定年後にも大きく賃金が下がらない体系を検討することも有効です。この場合は、社員が選択できるようにするとよいでしょう。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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