第35回:優しい会社と強い会社の違い

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第35回:優しい会社と強い会社の違い

2014年8月 5日

【質問】我が社は先代社長からの慣行で社員の要望を全て受け入れ、処遇も改善してきました。ところが最近は、要求が多く、気に入らないとすぐに不満を言う社員も出てきました。何とか社内のぬるま湯体質を変えて危機感を醸成したいと思っています。


 地方にある50台規模の運送会社で、同様の状態にあった会社を訪問したことがあります。その会社は以前、ドライバーの確保で大変苦労した経験から、何でも社員の要望を受け入れる体質になっていました。例えば、ドライバーから「洗車をしたら手当を支給してほしい」と言われ、洗車手当(洗車1回につき500円)を新設していました。それにより、洗車は本来の「責任業務」から手当で行う「付属業務」に陥っていました。何か作業をしたら、その都度追加手当を要求されるようになりました。そのうち、配車の仕方にも要求が多くなり、配車係は常にベテラン社員の顔色を見て配車するようになっていました。あるべき姿と実態が大きくかい離していたのです。

 社長は「社員にやめられては困る」との意識が強く、服務規程の整備すら躊躇するほどの状態に陥っていました。社員にとっては何でも言うことを聞いてくれる「優しい会社」です。事故を起こしても処遇に一切反映しません。そのため事故が頻発していました。社長は事故削減方法について悩んでおられましたが、その会社の場合は安全教育以前に「規律」と「管理」の必要性から話しました。社員を思い、やりがいのある職場づくりをすることと「言いなりの会社」になることは天地ほどの違いがあると伝えました。

 「優しい」だけでは経営は維持できません。また事故も減りません。私は企業の経営者に「強い会社を目指しましょう」とよく言っています。外面が良くても中身が大赤字では会社が持ちません。同様に、社員に優しいだけではなく、メリハリをつけて真に貢献した社員こそが報われる会社にするべきと考えています。

 「強い会社」の共通点は明確な経営ビジョンと強いリーダーシップ、そして人材教育に支えられた規律、公正な処遇制度です。ぬるま湯体質を変える一歩は、毅然と社内制度の整備に取り組む経営者の意識改革からだと思います。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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