第34回:指導記録票の意義と作り方

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第34回:指導記録票の意義と作り方

2014年7月22日

【質問】当社では不注意や怠慢で事故や問題行動を起こした社員に対しては、その都度、口頭で注意していますが、特段書面での提出はさせていません。今後、どのように対処するとよいのでしょうか。


 中小規模の運送会社では、口頭での注意で済ましている会社が全体の8割程度と多く、その都度、始末書や指導記録票などの文書を提出させて保存している会社は2割程度と少ないのが実態です。中には「家族的な雰囲気や仲間意識を大事にしたいので、敢えて文書の取り付けなどはしていない」という会社もあります。

 しかし、そのような会社ほど一度トラブルが発生すると、「言った、言わない」の争いになりやすいのです。口頭だけでは指導の記録が残らず、過去の問題行動は全て「許してきた」ことになってしまう恐れがあります。

 会社のリスク管理上は、必ず文書を残すことをお勧めしています。大事なのは、その時に会社がどのような指導をしたかを記録することです。「今後、気をつけます。いかなる処分も受け入れます」と印刷された始末書に、本人の署名だけを書かせる内容では意味がありません。記録として始末書などを提出させるのであれば、不注意の事故や問題とされた行動の日時やその事実、本人の弁明、今後の再発防止策などを自筆で記載してもらうことをお勧めします。反省の言葉だけ、もしくはサインだけでは後日、「無理やり書かされた」と言われるケースもあります。

 大事なことは本人を責めることではなく、起こった事実をよく分析し、今後の行動をより良く改善してもらうことです。その上で、会社が指導した事実を文書で記録することが重要です。管理者は指導日時、場所、指導内容を記載した「指導記録票」を作り、管理者と本人の確認署名を残しておくとよいでしょう。

 なお、始末書や指導記録票が何枚になったら自動的に解雇だとすることはできないので注意してください。企業の規律と品質を高め、最近増加している労務トラブルを回避するためにも、指導記録票の意義を再認識する必要があると思います。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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