第33回:評価手当による品質向上の効果

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第33回:評価手当による品質向上の効果

2014年7月 8日

【質問】賃金体系の見直しを検討しています。賃金体系の中に「評価手当」を入れる効果について教えてください。


 「賃金をもっと上げてほしい」との要望はほぼ全ての社員に共通していますが、経営上人件費の支払い能力は限られています。会社が賃金体系を検討するときに最も重視すべき社員の声は「会社への貢献度を賃金に反映してほしい」との要望です。頑張って会社に貢献しても、楽をしていても、全く同じ賃金では不平等感を引き起こします。モチベーションにつながりません。

 一方、賃金が明確な基準で公正に決まれば納得できます。賃金の中で「仕事の質」を反映する手当の代表格が「評価手当」です。評価手当は運送会社の品質向上のために必須の手当といえます。不注意や怠慢による事故が繰り返し発生していた会社が、評価手当を導入して事故防止の努力を評価する制度に変えた途端、事故が半減したケースがあります。もちろん日常の指導教育が一番大事ですが、賃金に反映することで相乗効果が表れるのです。やはり賃金は本音の部分だからでしょう。

 評価手当に反映する項目は、(1)事故(車両、設備、商品)の有無(2)車両管理(特に洗車、点検)の徹底(3)あいさつ、マナーの励行、が3大要素です。評価は客観的に確認できる指標で行う必要があります。イメージで評価すると納得性が失われます。

 例えば、「洗車や点検の徹底」は無事故の継続にも大きな効果がありますので、月1〜2回は抜き打ちチェックを実施し、指摘を受けたか否かで評価すると良いでしょう。緊張感を維持するため2回目は月末近くに実施すると効果があります。あいさつは「荷主アンケート」の結果で評価します。その他、アルコールチェックでの検出有無やデジタルタコグラフの安全運転評価点なども評価に反映し、安全意識を一層高めることを推奨しています。

 運送業の賃金体系には無事故手当や皆勤手当がよく見られますが、事故と勤怠だけでなく、品質向上に効果がある項目を評価すると効果的です。複雑な評価制度の賃金体系を組み立てるよりもシンプルな評価手当のほうがわかりやすいといえます。評価手当の金額は総支給額の1割程度(2万〜3万円)が最適です。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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