第32回:運送業の共同化に必要な視点

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第32回:運送業の共同化に必要な視点

2014年6月24日

【質問】現在、趣旨に賛同した同業者と共に共同配送の仕組みを研究しています。従来の協同組合活動の枠を超えて真に社会に役立つ仕組み作りをしたいと考えています。進めるうえでアドバイスがあればお願いします。


 物流の共同化で最も大事な視点は「物流品質全体のレベルアップ」です。システム面の仕組み作りだけでは不足で、物流の担い手として選ばれることに直結しません。共同物流のシステム作りに没頭するあまり、物流品質のレベルアップが後回しになるケースがあります。今、共同化による物流の効率化は荷主のみならず、社会全体の要請になっています。今後求められるのは、安心・安全・正確に加え、気持ちの良い応対や物流に付加した価値の創造です。

 地方のある若手経営者が、実運送のみの会社と倉庫主体の会社など6社と共同で業務を受注する仕組みを考案しました。手作りの提案書とチラシを作り営業した結果、地元の中堅スーパーから委託を受けました。

 しかし、各社の社員には能力のばらつきがあり、荷主から「あの会社のドライバーは担当させるな」と言われる状況でした。そこで社員教育を共同で行い、職務行動を統一するようにしました。ユニフォームもできるだけ統一性のあるものに変えました。各社とも既存業務の実態から共同配送の担当者を固定できないため、誰でも対応できるように全社員を同じ場所で同時に教育しました。そのグループは現在、当時の数倍の大きな物流グループになっています。

 また、関東の運送協同組合で各社の社内規定の統一を手伝ったことがあります。その協組は共同配送センターのワンフロアに各社の執務スペースを配置したユニークな形態でした。社員教育にも力を入れていましたが、各社の社内規定はまちまちで、「同じ場所で同じ作業をしているのに、契約書も勤務ルールも処遇も違うのは限界だ。品質向上を目指すうえでも規程を統一しよう」となり、各社の経営者を集めて勉強会からスタートしました。このように共同配送はシステムの構築とともに各社の管理方法を見直し、全体の品質アップを図る視点が重要です。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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