第30回:運送会社の定年後継続雇用

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第30回:運送会社の定年後継続雇用

2014年5月27日

【質問】わが社では就業規則で定年を60歳としていますが、実際には定年後も引き続き働いている社員がいます。また、定年後の処遇について明確な基準がなく、特に書類なども取り交わしていません。運送会社の継続雇用制度について教えてください。


 中小規模の運送会社は高齢の社員が多く、就業規則の定年年齢(60歳定年が多い)を過ぎても同様の業務を引き続き行っているケースがよく見られます。その場合、退職金制度がある運送会社では、定年時に退職金を支給しますので継続雇用の概念が比較的浸透しており、賃金などの処遇を見直し再雇用扱いで1年ごとに労働契約書を取り交わす会社が多くみられます。

 しかし、退職金制度がない運送会社の多くは継続雇用の考え方が曖昧で、定年延長もしくは実質定年制なしの状態になっています。「働けるうちは働いてください」という曖昧な運用はリスクが大きく、将来のトラブルに発展しますので明確な継続雇用制度を作ることが求められます。

 本年4月から高年齢者雇用安定法が改正になり、本人が希望すれば原則65歳までの継続雇用が義務化されます。ただし、従来から継続雇用の対象者を限定する基準を労使協定で設けていた会社は、2025年まで経過措置として年金支給開始年齢で段階的に基準を適用することが認められています。この経過措置を適用するためには、就業規則にその旨を明記するとともに3月31日までに労使協定を結ぶ必要があります。

 またその際、対象者基準の合否をいつの時点で判断するか(60歳時点か、適用年齢時点か)を明確にしておくことが重要です。従来から実態として65歳まで全員を雇用している会社は問題ありませんが、健康状態や勤務評価、過失事故件数などを見て継続雇用の適否を判断してきた運送会社では、規程や協定の見直しが急務といえます。また、今後は人件費の上昇も予測されますので、継続雇用中の賃金など処遇制度についても再構築して、明確にしていく必要があります。

 一方、運送業界は今後も人手不足が最大の経営課題になってきますので、高齢者にますます活躍してもらう必要があります。元気な高齢者は今まで以上に重要な戦力になっていきます。適正な賃金水準の見直しとともに、働きがいのある賃金制度や評価制度を整備して、継続雇用期間中もモチベーションが保てる仕組み作りが求められます。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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