第3回:長距離ドライバーの賃金

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第3回:長距離ドライバーの賃金

2013年6月25日

【質問】当社は大型車を中心にトラック40台を保有し、長距離輸送を行っています。ドライバーの賃金は10年以上前に作った「運行手当表」に基づき運行手当で支給しています。標準時間を適用して、みなし時間で時間管理していますが、近年、高速道路の発達などで実際の所要時間が合わなくなっています。全面的な改定を考えていますが、そもそも長距離ドライバーの賃金は、どのように支払えば合理的なのでしょうか?


 長距離ドライバーの賃金は一定の基本給(最低賃金以上)と方面別の長距離運行手当で支給する方法が最も合理的といえます。例えば、実収入を基準にした歩合給で支給しますと、同様の仕事で荷主により運賃格差がある場合、歩の良い仕事を選ぶ傾向が出て配車に苦労します。

 一方、走行距離を基準に計算しますと、道に迷ったり遠回りしたほうが高賃金になるという不合理が生じます。方面別の長距離運行手当は「運行時間外手当表」を作成し、行き先別に設定した「定額時間外手当」で支給する方法が良いと思います。

 この場合、賃金規定に「運行に伴い発生する時間外、深夜手当などの割増賃金相当額として支給」する旨を明記する必要があり、注意が必要です。また、時間管理は、みなし時間で行うことはできません。日報やタコグラフなどを使い、実態の時間を管理する必要があります。

 次に、方面別の手当額をどう決めるかが重要になります。長距離輸送は原価構成から見て収受運賃の3割が人件費に配賦できる限度になりますので、(方面別運収×30%︱基本給)が手当額の上限になります。

 一方、通常運行により、どの程度の時間外・深夜時間が発生するかを想定し、手当額の妥当性を確認する必要があります。そのため標準速度(例:一般道・時速45km、高速道・時速70km)で走行した場合の方面別所要時間を算出し、手当額のめどを決めます。つまり、収益確保の観点と割増賃金確保の両面で検証し、決定していく作業を行います。


(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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