第23回:運送会社の分社化と持ち株会社化

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第23回:運送会社の分社化と持ち株会社化

2014年3月 4日

【質問】知り合いの運送会社が最近、会社を分社しました。一方、持ち株会社を作る運送会社もあると聞いたことがあります。運送会社で分社化や持ち株会社化などの組織再編は、どのような目的で行うのでしょうか?


 運送会社の分社化や持ち株会社化の動機は会社の事情により様々ですが、相談を受けたケースで比較的多いのは「リスク分散」目的です。大きな組織では事故防止や日常管理に十分目が届かず、万一、事故や時間管理の不徹底などが生じた場合、行政処分の違反点数の累積により営業停止になるリスクがあるため、管理可能な規模に分社しておきたいという動機です。

 この場合、気をつけることは、累積された違反点数は分社後の会社に引き継がれることです。また、保有車両や設備の効率、生産性を阻害しない分社の仕方を検討することが重要です。

 次に、賃金格差などの「労務管理上の問題」から分社を検討するケースもありました。ひとつの会社内に処遇の異なる社員が混在しており、勤務形態に違いがある場合に検討されることがあります。この場合も分社によって全体の労働生産性が落ちないよう、十分検討する必要があります。また会社によっては、エリア別に分社することで各地域に本社を置く運送会社となり、「地元密着型」で地場企業から仕事を請け負う、という営業目的のケースもありました。

 ほかのケースでは、引っ越し、集配、一般貨物輸送と業務態様が異なる分野を効率よく管理するため「業態別分社」を行った会社もあります。戦略的にホールディング会社を作り、「3PL部門と現業部門を明確に分ける」としたケースもありました。そして、後継者が複数いる場合の事業承継対策として、分社化や持ち株会社化を検討することもあります。この場合は税務の専門家と相談して進めることが大切です。

 以上のように、分社化や持ち株会社化の目的は多様です。ただし、注意が必要なのは分社をすると、総務・経理などの事務が分断され、間接コストの増加につながることがありますので、事務の委託などコスト対策を併せて検討することが重要です。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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