第2回:運送業の決算書の見方

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第2回:運送業の決算書の見方

2013年6月11日

【質問】地場中心に食品輸送を行っているトラック24台保有の運送会社です。最近のコストアップと売り上げ不振により2年間、赤字決算が続き、早急な経営改善を迫られています。まずは自社の現状分析から始め、適切な対策を検討したいと思います。運送会社の決算書の見方を教えてください。



 一般的には貸借対照表と損益計算書、運送原価明細などで財務状況を確認することが多いと思います。貸借対照表は財務バランスの確認、損益計算書はコストと利益の状況を確認することができますが、運送会社の決算分析で最重要なのは運送原価の構成です。大半の運送会社が売上総利益率(粗利益率)の段階で規範値の20%を下回っており、売り上げと運送原価に問題を抱えているからです。

 分析するには、まず全体の売り上げから傭車売り上げを引き、自車両の売り上げのみを100と見て原価項目ごとにウェイトを見ていきます。業態や車種により異なりますが、例えば2〜4トン車、地場中心の会社であれば、労務費45~50%、燃料費10~15%、減価償却費7〜9%、修繕費5%、保険料3%など、めどとなる数値があります。このうち燃料費は近年、単価の変動で構成ウェイトが変化しています。労務費は運送原価の中で最もウェイトが大きく利益に与える影響が大きいので、自社の標準労務費率を算出し把握しておくことをお勧めします。標準労務比率は2トン車50%、4トン車45%、10トン車40%を目安として自社の保有車両数により加重平均して求めます。

 一方、会社の管理レベルがはっきりわかるのは修繕費の比率です。5%を大きく超えるようだと車両管理レベルに問題があります。減価償却費を見るときはリース料も加算してください。保険料は3~4%が基準であり、保険の優良割引が40%を下回っていると問題があるといえます。

 なお決算書の分析はとても大事ですが、具体的な対策を打つためには車両別損益管理で車番別に問題点を把握することをお勧めします。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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