第14回:荷主依存度と経営安定化

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第14回:荷主依存度と経営安定化

2013年11月26日

【質問】現在、当社は一荷主の取引ウエートが全体のほぼ6割を占めています。今後、経営の安定化を考えたとき、このままでは一荷主への依存度が高すぎるのでは、と感じています。これから経営の安定化を進めるために留意すべき事項はあるでしょうか?


 10年以上前のことになりますが、ある運送会社が大手食品会社の仕事に9割依存しており、社長は「うちの強みは荷主が安定していることだ。おかげで運賃も良いし、順調です。何も改善する必要などありませんよ」と豪語していました。ところが、安定していると思われた荷主が投資の失敗で急速に経営が悪化し、ついには倒産してしまいました。その運送会社も連鎖倒産しました。

 いつの時代にも安定的な業種などはなく、浮き沈みが必ずあります。一荷主への高い取引依存度は、現在でも大きなリスクとなります。一荷主への依存度は2割以内が原則、多くとも3割以内が限度です。また同業種の荷主だけで売り上げの8割を超えているようですと、経営の安定化策を別に検討する必要があります。

 理想的な取引ウエートは、主要な荷主が5社以上あり、適当なウエートで分散されている状態です。業種も分散しているとベストです。また、下請けの仕事が全体の5割を超えてくると経営が不安定になります。荷主直請けの業務ウエートを少しでも高める努力が必要です。荷主の取引ウエートはすぐに修正できるものではありませんので、荷主開拓を進める中で常に意識する必要があります。

 例えば、「食品輸送のプロ」を看板にするのではなく、「温度管理のプロ」を看板にして、食品以外の輸送分野(例えば化学、精密機械など)を開拓し、成功している会社があります。得意業種だけに特化するのではなく、得意な輸送技術や保管技術、梱包技術などを前面に出して、従来取り扱っていなかった業種の貨物を開拓する工夫が求められています。この戦略を進めるためには乗務員の「多能工化」が必要になります。運送会社の経営安定化のためには数年先を見て、荷主開拓や従業員教育をしていく必要があるでしょう。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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