第118回:運送会社に人事考課表が必要な理由

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第118回:運送会社に人事考課表が必要な理由

2017年11月21日

【質問】当社の給与体系は基本給と手当、歩合給で構成しています。仕事の貢献度は歩合給で反映しているので、人事考課表は作成していません。運送会社で人事考課表が必要な理由は何でしょうか? またどのような作り方が良いかを教えてください。


 運送会社は歩合給体系が一般的なため、仕事の貢献度は歩合給に直接反映されると考えている会社が多いようです。しかし、社員の貢献度は歩合給だけでは捉えられません。若年者がすぐに会社を辞める理由の一つに「仕事の評価基準が不明で何をすれば良いのか分からない」「上司に適正な評価をしてもらえない」など、仕事の評価に関する不満が見られます。


 近年、運送会社では人手不足対策の一環で勤務形態が多様化しつつあり、短時間の勤務でも、効率良く働いた社員を正しく評価する仕組みが求められています。若年者の採用と定着のためには、仕事の質と量を正しく評価し、処遇に反映することが大切です。


 私が人事考課制度を作る場合、特に留意しているのは、現場で運用しやすい制度を構築することです。運送会社で多く見られる失敗例として、管理者が理解しないまま評価制度を導入し、勝手なイメージで部下を評価してしまう例があります。また、運送会社に向かないメーカー用の評価表を導入して、形だけの制度に陥っている事例もよく見られます。


 運用しやすい制度にするためには、運送会社の実態に合う評価基準を平易な言葉で作成することが大事です。安全への取り組み、事故の有無、車両管理、指示事項順守、あいさつ、服装、マナー、などの基本項目の他、「会社の経営理念に沿った行動をしているか」など会社独自の項目を入れても良いと思います。これらの項目を平易な言葉で説明し、期待する基準をクリアしたか否かを見るようにします。加点ポイントを作ると良いでしょう。管理者評価の前に自己採点する仕組みを導入すると、行動改善に結びつきます。


 評価の納得性を高めるためには、人事考課表の運用前に管理者に対して評価方法の研修をしておくと良いでしょう。その場合、管理者の評価には「部下を適切に評価しているか」を入れて意識づけしてください。人事考課表は上司部下のコミュニケーションツールとして活用することで風通しの良い職場を築くことが出来、管理者育成にも結び付きます。人は評価されて育つのであり、本来、人事考課表は社員が一人でもいれば作っておくべきです。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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