第116回:運行効率50%超を目指すためには

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第116回:運行効率50%超を目指すためには

2017年10月24日

【質問】現在、わが社では運行効率向上を目指して運行体制の見直しを実施しています。人手不足に加え、長時間労働抑制を要請される経営環境下で、他社は運行効率を上げるために、どのような工夫をしているのか教えてください。


 運行効率は運送業経営において最重要な管理指標といえます。運行効率の良し悪しで実運送会社の収益が、ほぼ決まるからです。運行効率は実働率と実車率および積載率の掛け算で算出されます。各比率の目安はそれぞれ75%以上であり、その掛け算である運行効率の目安は40%以上です。しかし、現実には各比率とも60%台の会社が多く、運行効率は40%を割っている会社が見受けられます。


 一方、工夫した運行管理を行っている会社は各比率が80%以上となっており、運行効率は50%台に達しています。この差はどこにあるのでしょうか。最近は深刻な人手不足の影響で、稼働していない車が出始め、「うちは常時3台のトラックが稼働していませんよ」などと聞くことがあります。


 今、適正な車種構成になっているかを改めて見直すことが必要です。車両の大型化で効率を追求するのか、むしろ小型車両に集約して1台当たりの積載率向上を目指すのか、を再検討する必要があります。


 過去に4トン車や大型車を次々と増車してきた会社が、積み荷や運行ルートの多様化で、現状では2トン車で十分であると判断して、来年3月の準中型免許スタートを機に、新卒や未経験者の採用・育成に注力する事例もあります。また、高収益のA社は、実働率の計算に「時間」の概念を採り入れています。通常、実働率は日数で計算しますが、その会社は、車が24時間のうち何時間稼働しているかで判断しています。人を替えて夜中や早朝にも車を稼働させる考え方です。そのため夜間に短時間だけ働きたいという人材を夜間要員として正社員で雇っています。短時間正社員制度です。


 別のB社では週3日だけ働きたいという社員を採用しています。1日の所定労働時間は10時間の変形労働時間制です。休憩や休息期間などの法令を順守しつつ、運行効率を高めるためには、採用の仕方を多様化し、複数の社員で車の実働率を高める工夫が必要です。なお、実車率の向上には帰り荷の確保が必須であり、数社で復荷交換契約を結び、効率アップを図る会社もあります。積載率向上には新規荷主開拓で積み合わせの貨物を増やす必要があります。これらの対策に加え、人材採用方法の多様化を検討し、運行効率50%超を目指してください。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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