第110回:運送業における歩合給の設定方法

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第110回:運送業における歩合給の設定方法

2017年7月24日

【質問】わが社は2トン車からトレーラまで保有車種が多く、取扱貨物も多岐にわたります。現在、ドライバーの給与を一律の売上歩合で支払っていますが、業務に合わせて賃金体系の見直しを検討中です。運送業における歩合給の設定方法を教えてください。


 運送業は歩合給の導入割合が極めて高い業種です。私が30年間、全国で見てきたコンサルティングの現場経験からすると、実態は中小運送会社の過半数が歩合給を導入しています。歩合給の設定方法は保有車種や業態によって様々です。運送業は業種が異なる「荷主の物流部門が寄り集まった集合体」であり、仕事内容が多様なため、合理的な賃金体系も各社の実態により大きく異なるからです。


 例えば歩合給の設定基準を見ても、次に挙げるとおり、多様にあります。どの歩合基準を使えば社員のモチベーションを向上させ、合理的に処遇できるかを各社が判断する必要があります。その際、経営財務上、適正な賃金総支給額と最低賃金や残業代などのコンプライアンス面充足とを両立させるよう、歩合給の適正なウェイトを検討することが重要です。


 運送業の主な歩合の種類は次のとおりです。(1)売上基準(ドライバー個人の運賃収入額を基準に計算する方法。ただし、チーム意識を高める目的で事業所や会社全体の月間売上額を個人実績に加算する会社も有る。売上から燃料代や高速代を引いて計算する方法も良く見られる) (2)距離基準(個人の月間走行距離数で計算。実車キロと空車キロで歩合率に差を設ける会社が多い。長距離の歩合には不適) (3)方面別運行回数基準(個人の月間方面別運行回数に応じて計算。長距離での導入割合が高い) (4)積み下ろし作業基準(個人の月間積み下ろし回数や手積み手下ろしの回数などで計算。運転業務よりも積み下ろし作業の方がきつい仕事に導入する。横持ちや縦持ち作業を別計算することもある) (5)立ち寄り件数基準(距離と積み下ろし作業の負荷を同時に見る基準) 店舗数基準(コンビニ、スーパーなどのルート配送によく使われる歩合基準。遠隔地の店舗を担当する場合の歩合率を調整することがある) (6)伝票・個数基準(個人の取扱伝票枚数や配送個数により計算。宅配などでよく使う) (7)ポイント基準(引越専業に見られる。貨物内容ごとにポイント計算) (8)立米基準(土砂、砕石など運賃契約が立米の場合に使う基準)


 運送業にはその他にも各種の歩合基準があります。これらの基準を社内で一律に導入するのではなく、業務ごとによく見て、自社に合う設定方法を検討してください。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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