第104回:ドライバーの家族に事故防止の情報提供をしよう

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第104回:ドライバーの家族に事故防止の情報提供をしよう

2017年5月 1日

【質問】最近、バスやトラックの事故が報道され社会問題化しており、事故防止対策に一層の取り組みをしたいと考えています。業務中の指導教育以外に取り組むべきことがあれば教えてください。


 現在、事故防止に向けて社内で指導教育を徹底している会社は多いと思います。しかし、安全教育に注力し、過労運転防止に努めている会社であっても、事故をゼロにすることは容易ではありません。事故防止は会社の管理だけでは不十分なケースがあります。事故の主な発生原因の一つに「私生活の管理不足」があります。


 例えば、①仕事が終わった後、会社に秘密で他社のアルバイトをしている②退社後飲み歩き、翌日まで酒気が残っている③睡眠時無呼吸症候群の治療をしていないため業務中も眠気が生じる、などの行動です。会社が管理できるのは、勤務時間中だけに限られますので、退社後の行動は本人の自覚に任せるしかありません。強い意志をもって事故防止に取り組む社員は問題ではありません。


 問題なのは意志が弱く、誘われればすぐに付き合うタイプの人です。このような社員の私生活管理は家族を巻き込んで協力してもらうことが必要です。無事故を一定期間達成できたドライバーの家族あてに社長名の感謝状と食事券を贈りましょう。そして表彰時だけでなく、普段から定期的に「事故防止のための生活のポイント」について記載したレターを家族に発送するようにしましょう。


 特に飲酒の影響については家族に知らせることが大事です。体重70kgの人でアルコールが抜けるまでに、ビール3本で9時間、日本酒3合で7.5時間、焼酎300mLで7時間、缶チューハイ350mL3本で7時間かかるという事実です。


 会社の点呼時にアルコールチェックを行い、呼気にアルコールが検知されると乗務停止になることも伝えましょう。また、睡眠時無呼吸症候群の症状を伝え、本人のいびきがひどい、もしくは呼吸が止まっていることがある、などの症状があれば本人に伝え、医師の診察を受けるよう家族から勧めてもらいましょう。


 本人のことを一番心配しているのは家族です。家族を味方につけ、安全確保への協力や異変がある場合は会社への連絡を依頼しましょう。日常から本人の家族とコミュニケーションをとることで休息期間の過ごし方が変わります。また家族の目に見える安全の取り組みは会社に対する安心感と信頼感の醸成につながります。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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