第103回:人手不足の今こそハラスメント防止研修の実施を

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第103回:人手不足の今こそハラスメント防止研修の実施を

2017年4月16日

 女性ドライバーの採用に取り組むことは大変良いことです。ぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。同業者から女性ドライバーの労務管理の難しさを聞かれたようですが、いくつかの留意点さえ押さえれば、採用のメリットのほうが格段に大きいので、躊躇なく進めてください。


 ご質問にあるとおり、私がお会いした経営者の中にも「女性ドライバーは採用しない」と断言する方がおられます。採用しない理由を聞くと大抵の場合、業務の問題(作業内容、労働時間など)か、もしくは過去にセクハラやパワハラなどの問題が発生し、その解決に大変苦労したから、という声を聞きます。長い間、男社会でやってきたため、女性ドライバーの受け入れ態勢ができないうちにトラブルが発生したものです。


 セクハラに関しては「男女雇用機会均等法」に基づき、事業者に対して防止体制の整備が義務づけられています。セクハラ防止に関する方針を明確にして、就業規則の順守事項および懲戒事項に明記し、相談窓口をつくり、相談者に不利益取り扱いをしてはならないなど、雇用管理上、必要な措置を講じるよう定められています。それらのうちで最も重要な事項は社員に対する教育です。運送会社では、事故防止に関する研修を実施しているところは多数ありますが、定期的にセクハラ・パワハラなどのハラスメント防止研修を実施しているところはまだ少数です。あまり身近なリスクと感じていないようです。


 しかし今後、ハラスメントに関するトラブルが増加することは間違いありません。ひとたび問題が発生すると不法行為で訴えられ、会社は使用者責任を追及されて高額の損害賠償を請求される恐れがあります。また職場の雰囲気が悪くなり、社員の離反を招く恐れもあります。今、全社員に対してハラスメント研修を実施することが急務です。


 特に普段、「○○ちゃん」と女性を「ちゃん」付けで呼ぶことが常態化している会社は要注意です。また、控室が男女一緒の場合、「着替えをのぞかれた」「携帯を勝手に見られた」などのトラブルが、よく発生しています。添乗指導の際にもトラブルが生じやすいので注意が必要です。職場環境の見直しと社員の教育で働きやすい会社にすることから始めましょう。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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