第102回:新人ドライバーにも早期に肩書と役割を与えよ

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第102回:新人ドライバーにも早期に肩書と役割を与えよ

2017年4月 2日

【質問】新入社員のドライバーが入社1年以内に辞めてしまうことが多く、困っています。長く働いてもらいたいのですが今後、どのような取り組みをしていけばよいでしょうか。


 現在、入社して1年以内に辞めるドライバーが6割を占め、入社後2週間以内に3割が辞めてしまったという運送業グループ50社の統計データがあります。今は人手不足の影響もあり、気に入らないことがあると、すぐに辞めるという現象が見られ、人材流動化が進んでいます。なんとか長く働いてもらいたいと考える経営者が多いのは当然です。入社時に教育プランを示し、丁寧に指導教育を行いながらコミュニケーションにも気を配る。各社が社員の定着に向けて工夫をされています。


 しかし、定着率がなかなか改善しないのはなぜでしょうか。私が長年継続してアドバイスしている運送会社で定着率がほぼ100%という会社があります。辞めていく社員が一人もいないという事実は驚異的です。その会社が何をしているか。社長、幹部社員、先輩社員の誰もが指導教育とコミュニケーションの役割を担い、社長に対する報告を徹底しています。日頃から経営者が「新入社員の育成と定着が最も大事な業務」と公言しているため、社内に教育の精神が満ち溢れています。


 新入社員がしばらく勤務して慣れてくると、すぐにリーダーの役割を命じています。管理監督業務ではなく、「マナー推進リーダー」など比較的簡単な業務の社内指導役を課しています。新入社員が先輩社員のマナーをチェックするのですから自分も率先して実行しなければなりません。役割と責任、権限を与えることで、なぜそれが大事なのかを、その意味から理解することができます。


 また、新入社員の側から先輩に働きかけることで、さらにコミュニケーションが進みます。若者の特徴に、自ら進んでコミュニケーションをとることが苦手という面があります。また、貢献意欲があり、それなりの自信も持っているが、それを表現することが苦手という面もあります。新入社員の定着を促進するには、身近な業務で役割と責任や権限を与え、自己存在感を高めましょう。1年経ったら「副主任」などの肩書をつけて2000〜3000円程度の手当を支給し、「5S推進リーダー」などの役割を担ってもらう方法で、仕事のやりがいと責任感を高めることが定着促進に効果的です。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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