価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ(川上徹也・著、クロスメディア・パブリッシング)

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価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ(川上徹也・著、クロスメディア・パブリッシング)

2009年12月15日

 『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』とは何だか突き放すようなタイトルだが、逆にとらえれば、「それ以外」で勝負すれば勝ち目はあるということでもある。同氏は、価格勝負を「自分の首をしめることになるだけ」、品質を「良くて当然」、広告については「情報が多過ぎて、ありきたりのものでは見向きもされなくなった」と切って捨てる。それでは、価格、品質、広告以外の「勝負どころ」とは何か。


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 この回答として、同著で示されているのが「ストーリー」だ。

「人の心を動かすことのできる『ストーリー』が商品やサービスに備わっていれば、たとえ価格や品質が横並びであっても、他とは一線を画すことができる」

 同著では例として、「行動展示」で有名になった旭山動物園が紹介されている。ここで同氏は、同動物園が人気を集めたのは「行動展示」というアイデアそのものの素晴らしさではなく、「どん底の動物園が、『日本一の動物園』という目標に向かって、さまざまな障害を乗り越えて進んでいく」という「ストーリー」にあったのではないかと分析する。その上で、「ストーリー」に必要なのは、まず「志」だと訴える。

「何のためにこの仕事をやっているのかということを明らかにすること。『儲かるから』という理由以外に、きっと何かあるはず。たとえいま過当競争になってしまっているような場合でも、事業を興した時には『これがやりたい』という信念があったことだろう。ぜひそれを思い出してほしい。そこにはきっと、お客に共感してもらえるような種があるはず」

 「ストーリー」の成功例が多く載っている同著だが、「かき氷屋」、「養豚農家」、「ビーチサンダル専門店」とその多くがBtoCのビジネスだ。物流業界のように、BtoBの世界で「ストーリー」を押し出すのは難しいのだろうか。

「確かにその面は否めない。しかし、いま法人向けにやっているビジネスをカスタマー用に振り向けられないか、視点を変えるのは一つの手。また、いまはBtoB、BtoCではない『BtoF』という考え方も出てきている。このFとはファンのこと。消費者であれ企業であれ、自分たちのファンを増やしていくことがいちばんのマーケティング」

 また、一つの事業・サービスに絞った「ストーリー」をアピールするという方法も。
「たとえば、自分が昔からやりたかった、社会貢献につながるような事業を立ち上げたとする。それがその会社にとって最大の収益源でなくとも、どんどんアピールすれば良い。そうすれば、『そういうことをやっている会社』というPRになり、ブランディングにつながるはず」

 「ストーリー」によるブランディングが、すぐさま売上に直結するわけではない。しかし、「苦しい状況のいまだからこそ、他と、あるいは今までと同じことをしていても仕方がない。何でもやってみる価値はあるのではないか」と同氏は訴える。

「いまの時代、お客から選ばれるには何とか横並びから脱し、目立つ必要がある。その時に、『なぜこの事業を興したのか』『なぜこの道を歩いたのか』というところに他と異なる部分があれば、それを取り出して輝かせてみせれば良い。どんな会社にもリスペクトされるべき要素はあるはず」

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▼「価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ」川上徹也・著、クロスメディア・パブリッシング、1400円(税別)


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

株式会社物流産業新聞社
記者M

記者M

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