「ありがとう力」で会社は変わる(福原裕一・著、大和出版)

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「ありがとう力」で会社は変わる(福原裕一・著、大和出版)

2009年11月24日

 給与を上げたり、人事体系を変更したりせずとも、組織の活性化を図る方法がある。それは、「ありがとう」という言葉を組織に浸透させること―こう主張するのは、『「ありがとう力(りょく)」で会社は変わる』の著者で、炭火串焼の「くふ楽」「福みみ」などを展開するKUURAKU GROUPの社長・福原裕一氏だ。同著を執筆した理由を「『ありがとう』という言葉の持つ力を改めて伝えたかった」と説明する。


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「自分は外食産業に身を置いているため、お客さんから『ありがとう』と言われる機会も多く、それがいかにうれしいことか、喜びを実感できることであるかを知っている。この言葉の力強さを、みんな忘れてしまっているのではないかと思う」

 とはいえ、「感謝しなさい」と言われて感謝しても意味がない。そこで同社では、従業員が「感謝したくなるようなシチュエーション」を作り出す仕掛けが構築されているのだという。日報に「今日のありがとう」という欄を設け、その日感謝したい仲間やお客のエピソードを書く。従業員がお互いに渡し合う「ありがとうカード」などなど...これらの仕掛けによって「ありがとう力」が社内に浸透し、初めは照れくさがっていたアルバイトスタッフなども、いつしか自然に「ありがとう」が言えるようになるという。
 それでは、「ありがとう力」がもたらす影響とは。

「たとえば、店長とスタッフがうまくいっていなければ、お客さんはそれを敏感に感じて売上にも影響が出る。さらに人が辞め、利益率も下がる。しかし、『ありがとう』を言い合う組織であれば、みんながイキイキと楽しそうに働くことができる。そうなれば当然、売上もついてくる」

 実際、同社は売上も順調に推移し、何よりも、人が定着しないと言われる外食産業にあって、離職率は極端に低い。「ありがとう力」が「会社への愛着」へと変わり、「組織を伸ばそう」という原動力になっていることが見てとれる。

 人は自分の存在を認めてもらいたいもの。この思いを最も満たしてくれるのが、他者からの「ありがとう」という言葉だ。そして、「その前にまず、いま自分がここにいるということに『ありがとう』と言って欲しい」と同氏は付け加える。

「そのために当社で行っているのは、生まれた時の様子を親御さんに聞いてきてもらうこと。『逆子だった』など一人ひとりにストーリーがあり、自分の価値を確認できるとともに、周りの人もそれを聞くことによって親近感が増す。名前の由来を改めて聞くのも良い」

 同社が長年かけて構築してきたような「仕掛けづくり」は後からでも良いだろう。「まずは、あなたが、これから24時間以内に『ありがとう』と言えることを探し出すことからはじめてください」と同著巻頭にあるように、まずは、自分が自分自身に、そして周囲に感謝することから「伸びる組織づくり」は始まる。

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▼『「ありがとう力」で会社は変わる』福原裕一・著、大和出版、1400円(税別)


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

株式会社物流産業新聞社
記者M

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