「ウェイ」のある強い経営(野口吉昭・著、かんき出版)

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「ウェイ」のある強い経営(野口吉昭・著、かんき出版)

2009年11月17日

 「人」「モノ」「カネ」「情報」に続く第5の経営資源、それが「ウェイ」である―。野口吉昭氏(HRインスティテュート代表)・著、『「ウェイ」のある強い経営』では、企業活動における「ウェイ」の大切さが丁寧に述べられている。共著者である同社取締役の根反勝政シニアコンサルタントに聞いた。


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 同著によると、「ウェイ」とは「人や組織が醸し出すエネルギー」、一言で言うと「その企業らしさ」だと表現されている。「ウェイ」があることによって成果を上げている例として、トヨタや伊勢丹、リクルート、しまむら、日本電産など、名だたる企業が取り上げられている。このラインナップだけを見ると、「ウェイ」とは「大企業にしか必要のないものなのでは?」と思ってしまいそうだが、根反氏は「中小企業にこそ必要」と訴える。

「特に、サービスの差別化が図りにくい物流業界こそ、『その会社らしさ』を明確にして特徴付けることが必要。しかし、私の実感値では、中小で『ウェイ』の重要性を理解しているのは10社に1社程度しかない。社員が『ずっと受け継いでいきたい』と思えるような『ウェイ』を定めることで、中長期的な視点で競争力を磨いていけるはず」

 「ミッション」や「ビジョン」を掲げる企業は多い。それらの存在ももちろん重要だが、同著は「美辞麗句に掲げるだけで終わっていないか」と問う。その上で「ウェイ」を、「現場の社員たちが共感し、その結果、言動として表れてくるもの」と説明する。

 さらに論を進めれば、「ウェイ」とは、社員が「こうありたい」と願う形の集合体とも言える。同氏は、これを象徴するような例として、ある自動車メーカーの会議の光景を述懐する。

「各部署の部長さんたちが集まって行う戦略会議のようなものだったのだが、細かい数字の話は一切出てこず、各人が『俺の夢』、車にかける想いについて熱く語っていた。この会議に代表されるような『ウェイ』が創業時から脈々と受け継がれ、この会社の開発力、そして競争力の源となっているのだと実感した」

 社員の「こうなりたい」という想いと、会社のビジネスビジョン。この2つが重なりあった時に、イキイキと働ける職場が実現する。

「経営者は収益だけを見ていたらいけない。同じような意識を持った人たちと働くことで社員は成長でき、結果として数字もついてくるはず」

 では、「ウェイ」を創り上げるにはどうしたらよいのか。

「まず、『ウェイ』の素となっている、会社ごとの流儀やポリシー、社員たちの夢や志、こだわりなどを洗い出してみること。その中から、エネルギーの強いものや、大事にしたい、残したいと思えるものを取り出し、言葉として表現する。小さい会社であれば、社長自身の考えを『ウェイ』にしても良いだろう」

 「言葉の重要性」は同氏が強調するポイントでもある。社是や社訓を毎朝唱和することで、社員たちに暗記させる―それもひとつ、意識の統一と言える。しかし、「ウェイ」のあるべき姿とは「社員が共感し、現場の仕事へとつなげること」。

「『ウェイ』を自分たちの仕事にどう活かすことができるのか、つまり『ウェイ』が社員それぞれの『自分の言葉』になっていないと。みんなが納得できる言葉を決めるには時間がかかる。しかし、その時間を、将来のための先行投資と考え、社員とじっくりコミュニケーション図ってほしい」

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▼『「ウェイ」のある強い経営』野口吉昭・著、かんき出版、1500円(税別)


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

株式会社物流産業新聞社
記者M

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