だから、会社が儲からない!(嶋津良智・著、日本実業出版社)

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だから、会社が儲からない!(嶋津良智・著、日本実業出版社)

2009年10月22日

 商売の本質はすべて「人」で決まる。会社を存続させるための最重要課題は「会社内の『人と組織』を強化すること」―。著作「だから、会社が儲からない!」でそう唱えるのは、次世代リーダーを育成することを目的とした教育機関・リーダーズアカデミーの代表・学長を務める嶋津良智氏だ。独自のメソッド「上司学」を唱える同氏。同著では、「人と組織」にフォーカスを当てた経営論が展開されている。


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「究極を言えば、上司の仕事は『自分の仕事をなくすこと』。自分の仕事をなくすのに必要な事柄をピックアップし、それを任せていく。部下と組織の自立を促すことが、組織を大きくしていく上で欠かせない。そのために上司がめざすべきは、部下に『この人に付いていきたい』と思わせる『魅力的な人間』。けして『必要な人間』になってはいけない」

 リーダーズアカデミー以外にも、複数の会社の経営経験を持つ同氏。なぜ、「経営の要諦=人と組織」という論に行き着いたのか。

「実は、自分は『数字』が嫌いだった。もちろん、財務やマーケティングが重要なことも分かってはいたが、それよりも、人の教育に力を入れるようになったら売上も伸び始めた。もともと教師をめざしていたこともあり、経営をしていても、人が成長するのを見るのがいちばん楽しい。いくら売上が上がっても、社員が疲弊したり、つまらなそうに働いていたりしては楽しくない」

 「従業員を『入れ替え可能なパーツ』だと考えるなんてもってのほか」と話す同氏。「従業員が次々と辞めていく企業は良くない」とも話すが、では、そうならないための「教育」とは何だろうか。

「上司の仕事は、部下に『幸せになって欲しい』と願い、幸せや目標の達成に向けた支援を行うこと」

 そのために、従業員に対する企業の責任として、同氏は「『この会社で働く理由』を明確にしてあげることが大切」と説く。

「『働く理由』を明確にすれば、従業員も迷わずに働くことができる。新しく入ってくる人もその『理由』に賛同して来るわけだから、組織は強化されていく。もし『理由』が見当たらないのなら作れば良い。『5年後に、◎×エリアで1番の売上の会社になる』でも、何でも良い」

 また、同氏は、「なぜこの会社で働くのか」だけでなく、さらに一歩進めて「なぜ働くのか」までを突き詰めて考え、そのことについて従業員と話し合うことを勧めている。

「『天職』という言葉があるが、それには5つの要素があると言われている。その仕事を好きであること、やっていて楽しいこと、得意であること、人の役に立つことが感じられること、経済的見返りがあること。5つが当てはまれば『天職』で、4つならば『適職』、3つしかないのなら辞めた方が良い。経営者や上司は、部下に『君は天職に就いているか』と従業員に聞いてみたら良い」

 確かに、従業員に自身を振り返ってもらった結果、「3つしか当てはまりませんでした、辞めます」などと言い出してしまうのは怖い。しかし、「話し合えたら、そのこと自体が会社や従業員にとっての価値になる」という。

「企業の中の指標には、いつまでに何をするのかという『目標』と、何のためにやるのかという『目的』があるが、どうしても『目標』ばかりが意識され、『目的』がないがしろにされていることを感じる。『何のために働くのか』などという『目的』を明確にする作業は確かに辛いけれど、目を背けてはいけない根本的なもの。逃げずに部下としっかり向き合うことで、その会社は、従業員一人ひとりが『目的』を達することができる場所へと変わっていけるはず」

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▼「だから、会社が儲からない!」嶋津良智・著、日本実業出版社、1500円(税別)


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

株式会社物流産業新聞社
記者M

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