あたりまえのことをバカになってちゃんとやる(小宮一慶・著、サンマーク出版)

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あたりまえのことをバカになってちゃんとやる(小宮一慶・著、サンマーク出版)

2009年10月 7日

 経営コンサルタント・小宮一慶氏の『あたりまえのことを(A)バカになって(B)ちゃんとやる(C)』が売れている。「100年に1度」と言われる不況にあって、苦境をしのぐためには、手っ取り早い「ノウハウ」に頼りたくなるもの。しかし、同著に「ノウハウ」的な要素は少なく、書かれているのは「経営に対する考え方」。同氏はなぜいま、このような本を出版したのか。


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「いまこそ、このような考え方が求められていると感じた。景気の良い時は、多少(考え方が)ブレている人でも、小手先で儲けることはできる。しかし、不景気になると、しっかりした『正しい』考え方がないと生き残れない。おかしなことをして儲けた金でベンツを買っても、この景気になれば失ってしまう。これは会社経営だけでなく『生き方』そのものにも言えること」

 嘘をつかない、借りた物は返す、目の前にある仕事に全力で取り組む...これらの「あたりまえ」のことをできるかどうかが、経営の成否を決めるというのがその趣旨。そもそも、「あたりまえ」=正しい考え方とは。

「この世に『絶対に正しい』ことなんてない。だから、多くの人が正しいと思っていることを学ぶこと。そのためには、若いうちに本をたくさん読むことが重要」

 同氏の場合は、20代後半の若い頃から『論語』『仏教聖典』などの書物を読むことで、世の中を大きく動かしている「原理原則」の考え方を身につけてきたという。では、その「正しい」考え方はどうすれば身に付くのか。

「『嘘をつかない』などということは小さな頃にみんな教わったはずなのに、大きくなるにつれておかしな『大人の論理』が身につき、大事なことを忘れてしまう。松下幸之助さんも、京セラの稲盛さんも、偉大な経営者はみな『あたりまえ』のことをしっかりやっている。あとは勉強をするかしないかの問題。これは、アタマの良し悪しは関係ない。人の話を聞ける素直さ、謙虚さを持って、『より良くしよう』という努力ができるかどうか。たとえば業界紙を読むのでも、『何か良い情報を得よう』という気持ちで見るのと、他社の倒産情報ばかりを気にするのとでは得られるものも違う」

 同著の中では、「まわりにいる人を幸せにしよう」という「利他心」が、経営や人生をうまくいかせるために重要な要素だと書かれている。そして、「勝った、負けた」の「ゼロサムゲーム」ではなく、会社も従業員も株主も潤うような「創造」の経営こそめざすべきものであると説明。ライバルとの関係も、「弱肉強食」ではなく、「優勝劣敗」だと。

「『他を出し抜かなければ競争に勝てない』などと言ってやっているのは、レベルの低い人たちがレベルの低い争いをしているだけ。優れたものが選ばれる、ただそれだけのこと。自分が良いサービスを提供すれば売上は上がる。『お客さま第一』という気持ちを持って工夫する姿勢が大切」

 「お客さま第一」は、同氏が、「経営の中で最も大切なもの」として掲げている姿勢だ。たとえば同氏自身、「顧問先は15社まで」と決めているという。利益を重視すればもっと数を増やすことも考えられそうなものだが、「(コンサルティングによって)いい会社をつくる」という自身の役割をきちんと全うするには、その数が最大値とのこと。

「その15社がうまく行けば当社の評判も上がり、結果的には良い循環につながる。目先のことだけを考えて損得勘定で動いていてはダメ」

 同氏は、成功のためには「技」と「考え方」の双方が大切だと説く。「道具」としての「技」も常に磨き続ける必要があるが、苦しいいまだからこそ、「考え方」を見直すよい時期なのかも良いかもしれない。

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▼「あたりまえのことをバカになってちゃんとやる」、小宮一慶・著、サンマーク出版、1400円(税別)


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

株式会社物流産業新聞社
記者M

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