アホ社長のアタマの中(斎藤之幸・著、東洋経済新報社)

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アホ社長のアタマの中(斎藤之幸・著、東洋経済新報社)

2009年10月 1日

 衝撃的なタイトルのビジネス書、『アホ社長のアタマの中 あなたの会社はなぜ大きくなれないのか?』。著者の斎藤之幸氏は、30年以上に渡って社会保険労務士・コンサルタントとして活躍し、社労士の全国ネットワーク「社労士法人斎藤マネジメントオフィス・アンジェロ」の相談役も務めている。同著は、これまでに何千という会社、そして社長を見てきて、「会社の玄関に入っただけで、その会社の状態が分かる」という同氏の「33年分の『現実』」が反映されたものだ。


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 同著が伝えようとしているのは、「会社が大きくならない要因は『社長自身』にある」ということ。この「社長自身のなかにある要因」を取り除かない限り、いくら理論を学んだり、システムを導入したりしたところで、思うような結果は得られない―と同著は言い切っている。「カラスがいるかぎり、種を蒔いてどんなに良い肥料を与えても、その畑に芽が育つということはない」と。

 では、その「カラス(=要因)」とは何か。同著では、「『長時間がんばる社員は偉い』と思っている」、「『家族的経営』を唱えている」、「高い基本給を払って残業代をケチる」、「良い人材がいないと嘆く」、「『社員教育に金などかけられない』と考えている」など、社長が会社の利益を上げるため、あるいは社員のために「善かれ」と思ってやっていることが多く挙げられている。思い当たるフシがある社長も多いのではないだろうか。

 それらが「なぜダメなのか」の各項目の説明については同著を読んでいただきたいが、同氏が最も大切だと訴えるのは、「経営者としての『考え方』」の部分だ。

「『従業員とその家族を幸せにしてやろう』と本心で思えるかどうか。従業員もバカではないから、偽物の気持ちだとすぐに見抜かれる。たとえば、給与をごまかしたり、平気で法を犯したりするような社長に対して、従業員は『付いていきたい』とは思わない。『よい人材がいない』と嘆く社長は、自分のせいであることを自覚すべき」

 ただ、ワンマンで頑張ってきた社長ほど、考え方はすぐに変えるのは難しいとも言えそうだが。

「でも、徐々に変えていくことはできる。私が顧問契約を結び、社長と話す中でじわじわと考え方を伝えていったところ、それまでの10年は5台止まりだったのに、2―3年で急激に台数を伸ばした運送会社もあった」

 また、社労士として中小を、コンサルタントとして大手企業を見てきた同氏は、それぞれの「違い」についてもつぶさに観察してきた。中小に欠けているもの、それは「長期的な視点」だという。

「もちろん経営をしていく上では『目先』のことも重要だが、あまりにそちらばかりに囚われていると会社として伸びることは難しい。少なくとも自分の代、30―50年の間のことは考えないと。会社を大きくしたいのであれば、教育のような、『目に見えないもの』にも価値を置き、お金をかけること」

 「中小企業は社長で決まると言っても過言ではない」というのが同氏の持論。「アホ社長」と衝撃的なワードこそ使っているが、よく読めば、悩める中小企業の経営者を応援したい、元気になって欲しいという想いのあらわれだということが分かる。そんな同氏から、経営者へのエール―。

「不況にある今こそ、『打って出ろ』と言いたい。他が守りに入っている今がチャンス。『犬も歩けば棒に当たる』ではないが、活動していれば何かは起こるはず」

▼「アホ社長のアタマの中」斎藤之幸・著、東洋経済新報社、1500円(税別)

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※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

株式会社物流産業新聞社
記者M

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