第357回:小さい会社の社長ほど心配していること

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第357回:小さい会社の社長ほど心配していること

2017年2月20日

 トラック20台以下の運送会社のための新時代のリーダー戦略について、引き続き話を進めていきます。


 新時代のリーダー戦略とは、ドライバーもトラックも増やさずに、配車センター業務を伸ばしていくという方法です。なぜなら、何度もお伝えしたように、現在の状況は「外的要因による一時的な踊り場」だからです。仕事がある状態が、ずっと続くわけではないのです。


 車両や社員を増やすということは、すなわち固定費を増やすということです。もし、状況が変わって仕事が減っても、車両は簡単に手放せませんし、社員も簡単に解雇できません。一度増やしてしまった固定費は、簡単には減らすことができないのです。


 ですから、できるだけ所帯は小さく、固定費を増やさないままで、売り上げだけを増やすシステムを作っていく。これが、トラック20台以下の運送会社が、経営を安定させるための重要なポイントです。


 多くの運送会社が現在、ドライバー不足で悩んでいます。しかし、新時代のリーダー戦略では、ドライバーを増やす必要がありません。さらには、配車センター業務を拡大していくことで、高齢ドライバーが体力的にトラックをおりたときの、再雇用の可能性も広げることができるのです。


 小規模の運送会社の社長ほど面倒見が良く、ドライバーとも家族のように付き合っている人が多いようです。そんな経営者が今、一様に懸念しているのが、高齢ドライバーの近い将来についてです。国からの十分な年金は期待できないし、かといって十分な貯蓄や資産を持っているわけでもない。


 今後、視力や体力が衰え、ドライバーという仕事が続けられなくなったからと言って、「それでは、さようなら」と、離職勧告を言い渡すことをしたくないという人が、本当に多いのです。


 それならば、体力が衰えてもできる仕事を会社で用意しなければなりません。今までの経験が生かせて、社内で肉体労働でない仕事といえば、ずばり、配車業務です。かといって、通常の業務ならば、配車マンは1人で間に合います。単純に、今の3倍の仕事を受注すれば、3人の配車マンが必要になるというわけです。


 現在、若年ドライバーの採用が難しいのは、なり手が少なく、採用したい企業が多いからです。そんなことは、私が解説するまでもなく、みんながわかっていることです。それなのに、この難しい時期に、わざわざ難しいことをしようとする人が、本当に多いのです。時代の流れに合った戦略をとるほうが、成功の可能性が高くなります。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

高橋久美子の「あなたの会社が儲かっていない本当の理由」
高橋 久美子氏

高橋久美子 規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。

全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会
http://www.handlecover.com/kaizen/index.html

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