第337回:辞めてもいいんです(5)

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第337回:辞めてもいいんです(5)

2016年8月15日

 私が治療を受けていたのは、およそ50年前のことです。私は、今でもときどき、赤ん坊の頃に治療を受けていた肢体不自由児施設を訪問することがあるのですが、現在は、かなり治療方法が進化しています。先生には、「昔の治療方法は、拘束矯正だったんですよね。今じゃあ考えられませんよね。ほんとうに、せつなかったでしょう。よくがんばりましたね」と、しみじみ言われます。


 私も、今だったら、両手両足が自由にならない拘束は、1日でも耐えられないと思います。そんな記憶がトラウマになっているせいか、私は何かに縛られるのが、心の底から嫌いです。指輪やブレスレットなども嫌いですし、外出から部屋に戻ると、靴を脱ぐのと同時に腕時計を外します。


 物質的にも、精神的にも、何にも縛られずに、自由でいたいのです。昨年からは、ついに定住地を持つのもやめました。現在は、東南アジアを中心に、好きな場所で毎日を過ごしています。


 赤ん坊の頃の経験から、私は自由を求める気持ちが人一倍強いのかもしれません。でも、みんなも、もっと自由になっていいんじゃないかといつも思っています。人に使われるのがイヤで社長になった人が多いはずなのに、株主に評価される上場企業でもないのに、小さい会社は社長の独断で決裁できるのが強みなのに、それなのに、自分のやりたいようにできずに不自由そうにしている人が、本当にとても多いのです。


 多くの人が、不都合レベル(自分の理想との差)が高くても、現状維持に甘んじている大きな理由の一つは「他に選択肢がない」と、思い込んでいることです。「自分には、これしかできない」「この人がいなくなったら、代わりがいない」というように、他の選択肢がないと思い込んでいるので、自分の理想と違っても、見切りをつけることができません。


 新規荷主が行列したとしても、その荷主と付き合い続けるでしょうか。求職者が殺到したとしても、その人を雇用し続けるでしょうか。今の3倍の年収が得られるビジネスが手に入るとしても、その仕事を続けることを選択するでしょうか。「辞めるわけにはいかない」と思い込んで、抱え込んでいるそれは、あなたの第一希望のものですか? 一度、自分の本当の気持ちを聞いてみてください。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

高橋久美子の「あなたの会社が儲かっていない本当の理由」
高橋 久美子氏

高橋久美子 規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。

全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会
http://www.handlecover.com/kaizen/index.html

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