第334回:辞めてもいいんです(2)

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第334回:辞めてもいいんです(2)

2016年7月25日

 私たちは、必要以上に「ものごとを途中で辞めることは悪いこと」「継続することこそが良いこと」と教育されてきました。「みんなが継続を選んでくれた方が都合がいい人たち」が「みんなが継続を選ぶように仕向けてきた」からです。


 みんながフロンティアになってしまったら国や地域を統治することができません。大部分の人に変化を嫌う人種でいてもらう方が地域を統治するには都合が良かったのです。統治する側は、できるだけ多くの人々を自分の土地に留まらせなければなりません。農耕の時代には土地が生活の糧でした。ですから人々は、ずっとその土地に留まり、土地を代々継承して生活を営んでいました。


 しかし、工業化社会になり人々は、一つの土地に留まらなければならない理由がなくなりました。統治する側は、どうにか人々を土地に縛るように仕向ける必要がありました。ですから、家を買うことが幸せの象徴のように刷り込み、35年ローンで体力がある元気なうちは、長期間「会社」と「土地」に縛りつけるようにしたわけです。


 ローンを組んだ人たちは、「35年間は辞めるわけにはいかない」と、「家族の幸せのために」と言いながらも、いつの間にか最優先事項は「幸せ」ではなく「継続」そのものになっていきました。


 「下積み10年」という言葉も同じです。誰もが身につけるのが難しい特殊な技術以外、通常の職業では必要ありません。批判を覚悟で言いますが「下積みルール」とは、「簡単に自分を追い抜かれたら困る先輩」が、自分の立場を守るために構築したものです。


 昔は、人生が50年で終わり、時代の変化の速度が今よりも遅かったので、一生涯に一職業で人生を終える人が大半でした。その頃は「下積み10年ルール」が双方にとって効果的に機能していました。しかし、時代の変化が激しい現代において、もはや、下積みルールがまったく意味をもたない職業のほうが大半です。


 下積みに長い年月を費やしても10年後には、その職業が存在しているかどうかさえ分からないのです。大昔につくられた「良識に聞こえる常識」には、現代にあてはめたら合理的でないものが多くあります。私たちは経営者ですから、常に常識を疑う思考を持たなければなりません。

 

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筆者紹介

高橋久美子の「あなたの会社が儲かっていない本当の理由」
高橋 久美子氏

高橋久美子 規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。

全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会
http://www.handlecover.com/kaizen/index.html

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