【第1回】不当解雇と退職届けの重要性

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【第1回】不当解雇と退職届けの重要性

2009年3月30日

 業務態度について注意し、「明日から来なくてもよい」と言ったところ、「不当解雇だ」と言われトラブルになっています。どう対応したらいいですか?


 ある物流会社の社長Aさんは、従業員Bさんの日頃の勤務態度を叱責しました。Bさんは、「社長がそこまでいうのであれば、会社を辞める」と言い、会社を出て行ったため、社長Aさんは従業員Bさんが退職したと思いました。

 数週間後、Bさんの代理人弁護士から、解雇の撤回を求める内容証明通知書が届きました。Aさんは、「何かの間違いだ」と代理人弁護士に話しましたが、会社が解雇をしたといって譲りません。その後、このトラブルは、裁判になりBさんに対して給料約1年分の金額を支払うことになりました。

 従業員が会社を辞めると言って出て行ったのだから、解雇ではないだろうと思うかも知れませんが、裁判所はそのように判断しません。裁判所は、退職届がない限り、会社が解雇をしたと認定する可能性が高いのです。

 解雇となれば、会社は解雇予告手当を従業員に支払い、かつ従業員を解雇する理由が合理的でない場合は、解雇が無効となります。解雇の有効性は、よほど具体的な理由がない限り認められません。

 裁判に負ければ、東京地方裁判所の仮処分の場合、約1年分の給料を支払わなければなりません(正確には1か月の給料の8割×12)。

 では、会社はどうすれば良かったのでしょうか。従業員が辞める言ったときに、退職届を提出させれば良かったのです。従業員が「退職届を撤回する」と言ってトラブルになることもあるので、会社は「退職届を受領した」という内容の書面を従業員に渡します。

 この場合の退職届の受領書は、社長や人事部長、総務部長の名前で出した方が良いです。合意退職の承諾権者は一部の権限のある者に限られるからです。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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