【第8回】偽装請負のチェックポイントと解決策

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【第8回】偽装請負のチェックポイントと解決策

2009年6月29日

前回の続きです。佐藤さんは、佐藤運輸の社長です。佐藤運輸は、請負業者ですが、ある荷主の倉庫で仕分け、入出庫業務を請け負っています。労働局は、佐藤運輸の請負形態が、いわゆる正規の請負ではない偽装請負であると指摘しました。

 労働局は、佐藤運輸に対し、佐藤運輸の請負業務は本来の請負ではなく、労働者派遣に切り替えなさいとの是正勧告をしました。実は、佐藤運輸は、荷主から業務を直接請け負っていたのではなく、荷主が大手運輸に業務を請け負わせ、大手運輸から業務を請け負っていたからです。いわば、佐藤運輸は二次下請だったのです。佐藤さんは、このままでは会社がつぶれてしまうとの危機感を持ちました。労働者派遣では、二重派遣が認められていないため、このままでは大手運輸が佐藤運輸との請負契約を打ち切ってしまう可能性が高かったからです。

それでは、偽装請負について、どのように解決すべきでしょうか?


厚生労働省からの通達などをもとに、私なりに偽装請負と言われないための請負業者(佐藤運輸)のチェックポイントを以下にまとめてみました(予防策)。

もし、下記のチェックポイントから不安な点があれば契約書、注文書等の文言も含め、早急に改善することをおすすめします。

(1)注文主の設備、機械、装置などを無償で使用しているか否か

注文主の設備、機械、装置などを無償で使用しているということは、単純に労働力を提供している=労働者供給事業をしていると認定されかねません。対策としては、注文主と請負業者との間で賃貸借契約を結ぶことも有効です。その場合は、賃貸借契約を結びましょう

(2)請負代金が時間(時給)や日数(日給)で計算されているか否か

時給や日給などにより請負代金が計算されているということは、単純に労働力を提供している(請負ではない)と認定されかねません。

(3)作業者が注文主と同じ名札や名刺を使用していないか

このような事実があれば、注文主が作業者に対し、直接従業員のように業務を指示していたと認定されるおそれが強いです。

(4)作業現場に作業責任者がいるか

そのためには、請負業者は、作業現場に作業責任者をおき、作業責任者が注文主からの指示を受けて、作業者に指示しなければなりません。まったく、作業現場に作業責任者がいない場合が見受けられますが、この場合は、労働局は実質的な派遣であると認定する可能性が高いと思います。


次回は、労働局などから偽装請負であると指摘された場合の対処策を検討します。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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