【第7回】偽装請負で倒産の危機

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【第7回】偽装請負で倒産の危機

2009年6月15日

佐藤さんは、佐藤運輸の社長です。佐藤運輸は、請負い業者で、ある荷主の倉庫で仕分け、入出庫業務を請け負っています。売り上げのほとんどは大口の荷主からの倉庫の仕分け、入出庫請負業務によるものです。

 ある日、佐藤さんは営業担当者から、荷主の倉庫に労働局が調査に来たという報告を受けました。労働局は、佐藤運輸の請負形態が正規の請負いではない偽装請負いであると指摘。労働局は、佐藤運輸に労働者派遣に切り替えなさいとの是正勧告をしました。


 実は、佐藤運輸は荷主から業務を直接請け負っていたのではなく、荷主が大手運輸に業務を請け負わせ、大手運輸から業務を請け負っていたからです。いわば、佐藤運輸は二次下請けだったのです。

 佐藤さんは、このままでは会社が潰れてしまうとの危機感を持ちました。労働者派遣では二重派遣が認められていないため、このままでは大手運輸が佐藤運輸との契約を切ってしまう可能性が高かったからです。

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 偽装請負いとは何を指すのでしょうか?

 請負いというのは、他人の注文を受けて他人からは独立して、他人ではなく自己の指揮命令下のもとで自己の雇用する従業員を用い仕事を完成させる形態をいいます。
一方、労働者派遣というのは、他人の指揮命令下でその指示に従って労務を提供することをいいます。

 要するに請負いと労働者派遣の一番の大きな違いは、派遣先(発注者)が派遣元(請負い業者)の従業員に対し直接指示命令をするかどうかです。

 労働局などが偽装請負いであると認定した場合、佐藤運輸は実質は労働者派遣事業を行っているにもかかわらず、労働者派遣事業としての許可あるいは届け出を行っていないので、労働者派遣法に基づいて事業改善命令、事業停止命令を受ける可能性もあります。また、大手運輸は労働者供給事業の許可を得ずに自己の雇用していない労働者を派遣先に送り込んでいるので、違法な労働者供給事業を行っていることになり、荷主、大手運輸は職業安定法違反で処罰されます。

次回は、偽装請負いについての対策を検討します。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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