【第60回】非正規雇用従業員の解雇(1)

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【第60回】非正規雇用従業員の解雇(1)

2011年7月 4日

物流運送は、急激な売上の減少に頭を抱えております。物流運送は、全従業員のうち2割を契約社員(1年契約)を用いて運送業務を行っており、契約社員を解雇しようと考えております。ただし、契約終了までまだ半年残っており、解雇して良いものかどうか迷っています。昨年後半から不況の影響で製造業を中心に「派遣切り」などと呼ばれる非正規雇用従業員の労使トラブルがテレビや新聞で放送されるようになり、果たしてこのまま解雇して良いものかどうか迷っています。労働組合に駆け込まれたり裁判に発展することは避けたいと考えています。どのように対応すればよいでしょうか。


 各種報道によりますと、日本の労働組合員数は横ばいか減少傾向にありますが、いわゆる非正規雇用従業員については、各県程度の差こそあれ増加傾向にあるようです。特に、昨年後半から不況の影響で製造業を中心に「派遣切り」などと呼ばれる非正規雇用従業員の労使トラブルがテレビや新聞で放送されるようになりました。

 今後の政府の非正規雇用従業員に対する法規制によるところが多いのですが、おそらく今後も企業は、グローバル競争を勝ち抜くために、非正規雇用従業員を活用せざるを得ないと思われます。それと共に、現在起きている非正規雇用従業員に関する労使トラブルも一過性のものではなく、今後とも継続して起きると思います。

 今回は、非正規雇用従業員が労働組合に加入した場合を想定し、各種場合分けをしてその対応方法を述べることと致します。

1.期間の定めのある雇用契約を結んだ従業員について
・期間途中で解雇したところ労働組合に駆け込まれた
 最近、使用者が期間の定めのある雇用契約の契約期間途中であるにもかかわらず、従業員を解雇しようとしたところ(解雇予告をしたところ)、従業員がそれに反発し、労働組合を結成したことなどが報道されました。

 期間雇用契約を期間途中に解消する場合、その解消理由については、民法第628条の適用を受け、「やむを得ない理由」が必要とされます。

 また、労働契約法17条においても、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事情がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と規定しています。

 「やむを得ない理由」や「やむを得ない事情」とは期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了させざるを得ないような特別の重大な事由を指すと言われております。したがって、期間の定めのある雇用契約を結んだ従業員を期間途中で解雇することは非常に困難です。

 では、期間途中で解雇しようとしたところ、労働組合に加入した場合はどのように対応すれば良いのでしょうか?

 上記のとおり、期間の定めのある雇用契約の場合、期間途中で解雇することは非常に難しく、裁判所で争ってみても解雇が有効となる可能性はほとんどありません。それどころか、時間が経てば立つほど、解雇が無効と判断された場合の未払い賃金は膨らみ、資金的に余裕のない会社はそれだけで倒産してしまいます。次号でその対応を述べます。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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