【第59回】裁判員休暇について(7)

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【第59回】裁判員休暇について(7)

2011年6月20日

 裁判員休暇を設けるか否かについて、各使用者はどのように対応すればよいのでしょうか?


 これまで述べたとおり、使用者が、年次有給休暇を使用させて裁判員として審理に参加させるのか、裁判員として審理に参加した場合の特別休暇を設けるのか、特別休暇を設けるとして、有給扱いとするのか、無給扱いとするのかという問題が発生しますが、(細かい話しですが)有給休暇との関係で以下の問題があります。

 労基法第39条第7項では、業務上の負傷、または疾病のために休業した期間、育児介護休業期間、産前産後の休業期間について、出勤率の関係では出勤したものとみなすと定められています。

 では、裁判員休暇について、年次有給休暇の出勤率をどのように考えるべきでしょうか。この点については、現在のところ通達として明らかにされておりませんが、以下のように考えることができます。

 年次有給休暇が成立するためには「全労働日の8割以上出勤」が必要で、「全労働日」は、労働者が労働契約上労働義務を課せられている日を指します。また労働基準法第7条は「使用者は、労働者が労働時間中に」「公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない」と定めています。前述の通り、裁判員として審理に参加することは、労働基準法第7条の「公の職務」にあたるため、(たとえ裁判員休暇を設けていなくとも)裁判員として審理に参加、もしくは裁判員候補者として裁判所に出頭した日は、労働義務はないことになり、年次有給休暇の成立要件たる「全労働日」にあたりません。

 したがって、年次有給休暇の出勤率を算定する上では、裁判員として審理に参加、もしくは裁判員候補者として裁判所に出頭した日は「全労働日」に含めず、裁判員として審理に参加、もしくは裁判員候補者として裁判所に出頭した日を除いた「全労働日」を分母として出勤率を計算していただければよいかと思います。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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