【第57回】裁判員休暇について(5)

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【第57回】裁判員休暇について(5)

2011年5月30日

 裁判員休暇を設けるか否かについて、各使用者はどのように対応すればよいのでしょうか?


 これまで述べたとおり、使用者が、年次有給休暇を使用させて裁判員として審理に参加させるのか、裁判員として審理に参加した場合の特別休暇を設けるのか、特別休暇を設けるとして、有給扱いとするのか、無給扱いとするのかという問題が発生します。

3 無給扱いにする場合
 裁判員休暇は設けるが給与については無給扱いとした場合、給与の支払いがないことを明記しておかなければなりません。

 裁判員休暇を設ける場合は、前述の規定例「裁判員休暇」の給与の取扱いの部分を無給とすることで対応できます。また、以下のように既に就業規則に規定されている条文「公民権行使の時間」の規定を準用して、裁判員候補者、裁判員または補充裁判員の出頭が無給であることを明らかにする方法も一案です。

「規定例」 
(公民権行使の時間)
第●●条 従業員が勤務時間中に選挙その他公民としての権利を行使するため、または公の職務を執行するために、あらかじめ申し出た場合は、それに必要な時間を与える。ただし、業務の都合により、時刻を変更する場合がある。
2 前項の時間は、無給とする。

■審理が長期化した場合の扱いについて
 前述したとおり、裁判の事案内容によっては審理に参加するための休みは長期化することも予想されます。裁判員に選任され、審理中に給与が出なくて生活に支障がでるからという理由で辞退することはできません(正当な理由がある場合(重要な仕事で、自分で処理しないと著しい損害が生じる恐れがある場合)には対応してくれます)。

 しかしながら、長期間日当だけで生活しなさいという状況は、従業員にとってあまりにも酷な話です。そこで、使用者が休暇のうち一定の日数までは無給扱い、それ以後は有給扱いとすることも可能であると思います。

 その場合の規定例としては以下の通りです。
(裁判員休暇)
第●●条 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の施行に伴い、次の各号に該当し、事前に従業員本人から請求があった場合、裁判員休暇を与える。
中略
2 前項の休暇期間は原則として無給とする。ただし、●日を越える審理終了までの期間については所定労働時間勤務したものとして扱う。

 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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