【第54回】裁判員休暇について(2)

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【第54回】裁判員休暇について(2)

2011年4月18日

 裁判員休暇を設けるか否かについて、各使用者はどのように対応すればよいのでしょうか?


 労働基準法第7条は、「使用者は、労働者が労働時間中に」「公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない」と定めており、裁判員として審理に参加することなどは「公の職務」にあたりますので、裁判員として審理に参加することなどで仕事を休むことを拒むことはできません。

 また、裁判員法第100条は、「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めておりますので、一見すると使用者は裁判員休暇を設け、かつ有給扱いにしなければ「不利益な取扱い」をしたことになるように思えますが、以下に述べるとおり、賃金の取扱については例え無給扱いとしても「不利益な取扱い」をしたことにはなりません。

 使用者は、従業員と雇用契約を結んでおりますが、使用者は従業員の労務の提供に対し賃金を支払い、従業員は使用者に対し労務を提供します。

 したがって、使用者は、従業員に対し、使用者が指揮命令する業務に従事したことに対し、賃金を支払うのであり、従業員が裁判員として業務を行ったとしても、使用者は、裁判員業務に対して賃金を支払う必要はありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。

 ただし、従業員も裁判員に希望して選ばれているのではなく、単に衆議院議員の公職選挙人名簿登録者から、くじで選ばれているにすぎません。従業員が裁判員に選ばれたからといって、使用者が、従業員に対して、あなたは裁判員として選任され裁判員として審理に参加している期間は業務を行っていないのですから、あなたに裁判員として審理に参加している期間中の給料は一切支払いませんというのも酷すぎます。

 そこで、使用者が、年次有給休暇を使用させて裁判員として審理に参加させるのか、裁判員として審理に参加した場合の特別休暇を設けるのか、特別休暇を設けるとして、有給扱いとするのか、無給扱いとするのかという問題が発生します。

 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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