【第5回】会社の運転手遺族に対する民事責任

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【第5回】会社の運転手遺族に対する民事責任

2009年5月18日

 前回、裁判所が具体的な事例が「過労運転」にあたるかは、厚生労働省の告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を重視して判断するといいました。


 もう一度、以下に基準を示します。

・運転手の拘束時間(運転時間、手待ち時間、休憩時間を含んだもの)は、1か月293時間を超えてはならない(ただし、労使協定があるときは、320時間まで延長することが出来る)。

・一日の拘束時間は、13時間を超えてはならず、拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は16時間を超えてはならない。

・勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えなければならない

・運転時間は、2日を平均し1日あたり9時間、2週間を平均し1週間あたり44時間を超えないものとする。

・連続運転時間は、4時間を超えないものとする。

 特に、裁判所は、「過労運転」による事故直前の2,3か月の労働時間や拘束時間を重視します。具体例を挙げますと、43日間で総労働時間が339時間、うち時間外労働が合計101時間の事案(東京地裁平成18年4月26日判決)、直前2か月の運転時間が、それぞれ約155時間、141時間であった事案(大阪高裁平成15年11月27日判決)について、いずれも会社の運転手遺族に対する民事責任を認めています。
また、裁判所は、「過労運転」による事故直前に自宅で休息をとれていたかを重視します。

 具体例を挙げますと、43日間で自宅で休息できない日が18回あった事案((東京地裁平成18年4月26日判決)、「過労運転」による事故直前の2日間の自宅での休息時間が4時間、7時間だった事案について、いずれも会社の運転手遺族に対する民事責任を認めています。

「過労運転」とは、ほとんどの場合が居眠り運転ですので、運転手が睡眠を充分にとれるようにすることが大事です。業務上の事情により、多少運転時間や拘束時間が長くなったとしても、それが長期間継続することなくかつ自宅で8時間以上の休息(トラック内での仮眠ではありません)を取れるように注意してください。

運転手の労務管理を行うに当たって、参考にしてみてください。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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