【第49回】退職金支払いの必要性

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【第49回】退職金支払いの必要性

2011年2月 7日

不況で退職金を払うことができません。次に退職者が出た場合、払わなくてもよいですか。


 通常、退職金については賃金(退職金)規定に支給の有無、支給基準などの定めがあると思います(勤続年数など)。この場合、会社と従業員との間に退職金を支払うとの約束が成立したことになります。この場合は退職金は原則として賃金(退職金)規定のとおり退職金を支払う必要があります。

 ただし、業績不振でどうしても退職金を支払えない場合があると思います。その場合は、退職金について定めている賃金(退職金)規定を変更しなければなりません。上記の賞与の場合と同様に、この場合も、退職金を支払う規定があったにもかかわらずそれを支払わないと規定を変更するわけですから就業規則の不利益変更となります。

 上記のとおり、労働組合があれば労働組合の同意と非組合員の同意、労働組合がない場合は従業員個人の同意をとる必要がありますし(労働契約法第9条)、労働組合や従業員の同意が得られない場合でも、就業規則変更の必要性が高いかなどを考慮して合理性が判断されることになります。

 実務上はなるべく会社従業員の方を説得して、何とか各従業員から同意書を取り付けていただいた方がよいと思います。その上で賃金(退職金)規定を変更し、労基署に届けてください。

 一方、小規模の会社ですと就業規則はあるけれども退職金の規程が無い場合もあると思います。この場合、会社と従業員との間に退職金を支払うとの約束は成立していませんので、そもそも退職金を支払う必要がありません。もっとも、会社によっては、退職の際にいくばくかのお金(慰労金などの名目)を支払う習慣があるかもしれませんが、その支払金額の決め方にルールが特にないのであれば、業績が苦しい場合は退職の際にお金を支払う必要はありません。

 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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