【第48回】賞与カットの問題性

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【第48回】賞与カットの問題性

2011年1月24日

業績不振で、社員の賞与をカットせざるを得ないのですが、問題はありますか。


 御社の就業規則(賃金規定)を確認してみましょう。「賞与の支給額は会社の業績に応じ、従業員の能力、勤務成績等を査定し、その都度決定する」という趣旨の規定があれば、会社が賞与の支給額を決定できますので、業績不振の際は賞与を支払う必要はありません。要するに賞与を支払う必要は無いのです。

 では、これまで必ず一定の金額を賞与として支給してきた場合はどうでしょうか?この場合も、一定の金額を賞与として支給することが相当長期間にわたって行われ、かつ一定の金額を賞与として支給することを明確に会社が認めている場合でない限りは、一定の金額を賞与として支払う義務はありません。

 一方、「賞与支給額は●ヵ月を支給する」などの記載があれば、この記載のとおり賞与を支給しなければなりませんので、賞与をカットすると賃金の不払いとなり労働基準法違反となります(労働基準法第24条第1項)。

 かりに、このような規定が未だに存在しているのであれば、就業規則(賃金規定)を変更する必要があります。この場合はこれまで賞与を支給すると定めてきたものを、賞与を支給しないことがある旨規定を変更するわけですから、就業規則の不利益変更となります。

 就業規則を変更する場合は、労働組合があれば労働組合の同意と非組合員の同意、労働組合がない場合は従業員個人の同意をとる必要があります(労働契約法第9条)。実務上は、文書で合意書を交わす必要があります。

 労働組合や従業員の同意が得られない場合でも、(1)就業規則変更の必要性が高いか(2)就業規則変更による不利益が少ないか、大きいか(3)変更後の就業規則の内容が相当かどうか(4)労働組合などとの交渉経緯により、「合理的」であると裁判所が認めた場合は、就業規則の変更は有効となります(労働契約法第10条)。これだけでは抽象的で分からないかもしれませんが、このような問題があるということだけ覚えておいてください。

 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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