【第35回】改正パートタイム労働法(2)

連載トップへ

【第35回】改正パートタイム労働法(2)

2010年7月26日

物流運送は、運転手40名をかかえる運送会社です。ただし、人件費抑制のため、正社員の他に2種類の社員を雇っています。40名のうち3名は、アルバイト社員といって、正社員と仕事がほぼ同じで、雇用契約期間の定めはないですが、1週間の所定労働時間が短い者です。40名のうち5名は、契約社員といって、正社員と仕事がほぼ同じで、1週間の所定労働時間が正社員と同じで、雇用契約期間の定めはありません。ただし、正社員と契約社員は、正社員が月給制であるのに対し、契約社員は時給制です。正社員と契約社員、アルバイトを比べると、正社員の方が賃金水準が高くなります。

物流運送は、これまで会社設立以来、特に雇用契約書も定めることもなく人事労務管理をしてきました。契約社員、アルバイトから不満が聞こえてきたこともありません。ところが、ある日突然複数の契約社員が労働組合に加入し、労働組合は、契約社員、アルバイトを正社員にしろという要求を突きつけてきました。アルバイト、契約社員を正社員にしてしまうと、人件費があがり、会社の収益を圧迫し、赤字に転落してしまいます。物流運送はどのように対応したらよいでしょうか?


 今回は、平成20年4月施行の改正パートタイム労働法について具体的な改正内容を説明します。

(2)通常の労働者と同視すべきパート労働者への差別取扱いの禁止について
 パート労働法8条は、通常の労働者と同視すべきパート労働者に対して、パート労働者であることを理由として賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取り扱いをすることを禁止する規程で、事業者に対して差別禁止義務を課しています。

 では「通常の労働者と同視すべきパート労働者」とは具体的にどのような労働者を指すのでしょうか?「通常の労働者と同視すべきパート労働者」については前回条文の定義を説明しましたが、今回はわかりやすく説明します。

 「通常の労働者と同視すべきパート労働者」とは、以下の3つの要件をみたすものです。

 一つめの要件は、正社員と業務の内容、責任の程度が同じであることです。細かい基準は様々なものがあるのですが、少なくとも、正社員、アルバイトともに漫然と同じ仕事をしている場合は、正社員と業務の内容、責任が同じであるといえるとおもいます。

 二つめの要件は、当該事業主と期間の定めのない雇用契約をむすんでいるものをいいます。これだけですと何のことだかわからないかもしれません。要するに、6か月なら6か月、1年なら1年と契約が終了する時期を明確にして働かせているかどうかをさします。

 三つめの要件は、人材活用の仕組み、運用等が当該事業所に適用される通常の労働者と同一であることをいいます。長い目でみたときに、仕事の内容、配置が正社員、アルバイトに区別があるかどうかです。

 次号で本事例にあてはめます。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

GoogleAD