【第33回】会社が解散する場合の解雇(4)

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【第33回】会社が解散する場合の解雇(4)

2010年6月28日

 それでは、これまでの説明をもとに本件事案について回答したいと思います。
物流運送が解散し、事業廃止に伴い全従業員を解雇することはたとえそれが解雇規制の回避、反労働組合的な動機からなされたものであっても、解散自体も解散に伴う解雇も有効であるとされています。


 ところが、一部の従業員は賃金等を切り下げた労働条件で譲受会社(新会社)に雇用されることを拒否しております。譲受会社は、この従業員を雇わなければならないのでしょうか。

 原則として譲受会社は、譲受会社が提示する労働条件に同意しない従業員を雇う必要はありません。営業譲渡を受けたからといって、従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継する義務はないからです。

 もっとも、物流運送と譲受会社が実質的に同一の場合、譲受会社は従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継しなければならなくなります。

 すなわち、物流運送と譲受会社が実質的に同一の場合(株主も同じ、従業員も同じ、業務内容も同じ、会社所在地も同じなど)は、厳しい整理解雇の4要素を吟味して、解雇の有効無効が決定されることになります。その上で解雇が無効であれば、譲受会社は従前の会社の従業員の雇用関係をそのまま承継しなければならなくなります。

 では、物流運送と譲受会社が全くの別会社で、譲受会社が特定の労働組合のみ採用しなかった場合はどうなるのでしょうか?

 新会社への不採用は不当労働行為とはならないのが原則ですが(JR東日本事件最高裁平成15年12月22日判決)、あからさまな不採用は、全ての従業員の雇用を承継する合意があったと認定するなどして使用者が敗訴することもあります(東京高裁平成14年2月27日判決)。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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