【第32回】会社が解散する場合の解雇(3)

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【第32回】会社が解散する場合の解雇(3)

2010年6月14日

 前回は、営業譲渡を行ったとしても雇用関係、雇用契約から生じる債権債務をそのまま引き継ぐとは限らず、雇用関係を引き継ぐかどうかは、営業の譲受会社との合意によって最終的には決まると述べました。


 では、特定の労働組合員のみの雇用関係のみを引き継がず、他の非組合員の雇用関係を引き継ぐと、営業の譲受会社と合意し、特定の労働組合員のみ雇用を引き継がなかった場合はどうでしょうか?

 労働組合法は、使用者は、労働組合員であることや正当な労働組合活動を行ったことを理由として不利益に取り扱ってはならないと定めていますので、特定の労働組合員のみの雇用を引き継がなかったことは許されるのでしょうか?

 裁判所は、特定の労働組合員のみをあえて採用しなかったのであれば、このような合意は譲渡会社と譲受会社とか組合及びこれに属する職員を嫌悪した結果これを排除することを目的とするものであり、本件不採用は労働組合法に違反し、かつその点を除けば実質は全ての従業員の雇用関係を承継したに等しいので特定の労働組合員は譲受会社において従業員としての地位を有すると判断しています(青山会事件東京高判平成14年2月27日)。

 要するに、特定の労働組合員のみを排除する場合は、実質は全ての従業員の雇用関係を引き継いだものと等しいので、特定の労働組合員も譲受会社において従業員の地位を有することになります。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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