【第29回】整理解雇の有効性(7)

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【第29回】整理解雇の有効性(7)

2010年4月26日

 前回は、整理解雇の有効性は、裁判例により、人員削減の必要性、解雇回避努力、被解雇者選定の妥当性、手続の妥当性の4要素を考慮して判断され、被解雇者選定の妥当性について述べました。今回は、経済的打撃の大小、非正規社員を優先的に解雇できるかについて述べたいと思います。


 整理解雇を行う上で、経済的打撃の大小を整理解雇の被解雇者選定の基準とすることはできるのでしょうか?解雇されることによって労働者が脅かされる生活の程度、他の収入がある、共稼ぎで子供がいないなどの場合は、比較的ですが、解雇によって受ける経済的打撃は小さくなります。

 一般的に解雇されることによって被る労働者の生活を基準として、解雇されても生活に影響が少ないものから解雇することは認められておりますので、共稼ぎであるか、扶養家族はいるかを被解雇者選定基準に取り入れることは許されています。

 では、非正規社員を優先的に解雇することはできるのでしょうか?

アルバイトやパートなどの非正規社員は、一般的に、正社員に比べて採用手続きが緩やかで、労働時間や勤続年数も短いもので、雇用に対する期待が正社員に対し小さいといえます。したがって、アルバイトやパートから解雇をするということも許されております。ただし、アルバイトやパートであるから無制限に解雇できるのではなく、アルバイトやパートも希望退職を募集するか退職勧奨をして、もしくは配転の努力をして、それでも退職もしくは雇用を維持できない場合にのみ解雇することができます。

 昨今の労働者の権利意識の高まりから、アルバイトやパートの従業員でも、解雇された場合に労基署や弁護士に相談することがありますので注意が必要です。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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