【第22回】まず主治医と面談を

連載トップへ

【第22回】まず主治医と面談を

2010年1月18日

物流商事は、営業担当従業員の佐藤さんが、しばしば会社を休むため、佐藤さんの処遇に頭を悩ませていました。佐藤さんが、「抑うつ症状 業務に起因するものであり休養が必要」との診断書を提出したため、物流商事は、佐藤さんの主治医とも面談し、佐藤さんに休職を命じました。休職期間は6ヶ月間です。休職命令から4か月が経過し、あと2か月で休職期間が満了します。物流商事は、佐藤さんの病状は回復していないとして、復職させない方針ですが、佐藤さんは、復職可能との主治医の診断書を会社に提出しました。物流商事はどのような対応をとればいいでしょうか?


 会社は、従業員の主治医の判断のとおりに復職させなければならないのでしょうか?もしくは、会社の判断を貫いて従業員を退職させてもいいのでしょうか?

 まず、会社は、従業員の主治医と面談すべきです。従業員同席でもかまわないので、まず従業員の主治医と面談しましょう。面談した場合、会社は主治医に対し、(1)会社が復職させた場合、従業員の仕事や労働時間について、いつまでに何をどのように配慮したらいいのか?(2)現在、医師は従業員に対し何という薬をどのくらい処方しているか、カルテを本人同意の下開示してほしいなどと聞いてみましょう。

 (1)を聞くのは、会社が復職後になすべき具体的な方策を明らかにさせるためです。(2)を聞くのは、薬の種類、数量で、実際の従業員の体調を明らかにするためです。いくら、本人が体調が良いとは言っても、薬の種類や数量を調べれば、いろいろな事実が明らかになるものです。カルテも本人同意の下開示するように要求してみましょう。これまでの治療経過が明らかになります。病状が回復しているのかそうでないのか、医師のコメントなどから明らかになります。

 では、従業員が会社を主治医に会わせようとし無い場合はどうしたらいいのでしょうか?会社と従業員との間に信頼関係がない場合、なかなか従業員は会社と主治医を会わせようとしません。

 この場合は、あえて、会社は、書面で主治医に質問状を送ってみましょう。質問の内容は、私が上記のとおり述べたとおりです。従業員がそれすら拒否するのであれば、それはそれでかまいません。会社はなすべきことをなしたということが記録に残るからです。主治医が質問状に回答を書いてきた場合、主治医の回答に曖昧な答えがあったり抽象的な答えがあるのであれば、遠慮無く再度質問状を送り、明確にさせましょう。

 主治医からの質問を集めるということは大変重要な作業ですので、留意してください。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

GoogleAD