【第21回】復職か退職かの判断

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【第21回】復職か退職かの判断

2010年1月 4日

物流商事は、営業担当従業員の佐藤さんが、しばしば会社を休むため、佐藤さんの処遇に頭を悩ませていました。佐藤さんが、「抑うつ症状 業務に起因するものであり休養が必要」との診断書を提出したため、物流商事は、佐藤さんの主治医とも面談し、佐藤さんに休職を命じました。休職期間は6ヶ月間です。休職命令から4か月が経過し、あと2か月で休職期間が満了します。物流商事はどのような対応をとればいいでしょうか?


 前回、休職期間満了前に、会社が休職している本人と面談することが大事だと述べました。具体的に休職している従業員に聞く事項としては、(1)現在の健康状態(うつ病であれば、夜は寝られるか、食事はとることができるかなど)、(2)主治医は現在の健康状態について何と言っているのか、(3)主治医は、復職可能だと判断しているか、復職可能だという診断書を書くかどうか、(4)佐藤さんは会社に復職したいと思っているか、(5)佐藤さんは以前の営業の仕事をすることが出来るか、(6)会社が佐藤さんの主治医と面談することが出来るか、(7)佐藤さんは会社の指定する医師の診断を受けるか、(8)家族は復職について何と言っているのかが挙げられます。

 会社は、従業員が復職可能かどうかを判断しなければなりません。会社が、従業員が復職できないと判断し従業員を退職させることになっても、従業員が会社の処分に納得できなければ裁判をすることになります。その場合、裁判所は、会社がなすべきことをなしたかどうか、復職可能ではないと判断した場合、その基礎資料は十分かどうかをみることになります。会社の判断の基礎資料が不十分であったり、客観的事実に反している場合は、会社の判断も誤りとされる場合が多いのです。したがって、会社は、休職期間満了時までに集められるだけの情報を集めなければなりません。

 その結果、会社が復職可能させることは出来ないと判断しても、主治医が復職可能であるとの診断書を書く場合があります。この場合は、どう対処したらいいのでしょうか。大変悩ましい問題です。会社は、従業員の主治医の判断のとおりに復職させなければならないのでしょうか?もしくは、会社の判断を貫いて従業員を退職させてもいいのでしょうか?続きは次号で述べます。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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