【第18回】休職処分は就業規則が必要

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【第18回】休職処分は就業規則が必要

2009年11月16日

物流商事は、営業担当従業員の佐藤さんの対応に頭を悩ませています。佐藤さんが、しばしば会社を休むためです。佐藤さんが会社を休む理由もはっきりしませんでした。ところが、ある日突然、佐藤さんが会社に診断書を提出しました。診断書には、「抑うつ症状 業務に起因するものであり休養が必要」との記載がありました。物流商事は、佐藤さんに営業の仕事をさせていましたが、残業時間もそれほど多くなく、他の営業職員も健康を崩す人はいません。物流商事は、どのように対応すればよいでしょうか?


 前回、業務が過重であるなど、業務を原因としてメンタルヘルスに問題を抱えたのであれば、会社は従業員に対し損害賠償義務を負うことになります。業務が原因ではなく(私傷病)、メンタルヘルスに問題を抱えたのであれば、休職命令を下すことになりますと述べました。

 私傷病は、労働者の責任によるものです。私傷病を理由とした欠勤は労働者の債務不履行になります。通常、売買契約などでは一方が債務不履行を行った場合は、契約を解除することになります。労働契約でも基本的には考え方は同じです。労働者が債務不履行を行った場合、使用者は労働契約を解除(解雇)することができます。ただし、実務では解雇ではなく休職措置をとることが多いです。休職とは、私傷病で欠勤が一定期間続いた際、就業規則の規定に基づいて、一定期間の休職期間を与え、休職満了時に治癒していれば復職を認め、治療していなければ契約を解消するというものです。

 休職処分を行うには、就業規則の規定が必要です。就業規則に休職規定が無ければ、そもそも休職処分はできません。ほとんどの会社が、一定期間の欠勤→一定期間の休職→退職との規定をおいています。

 欠勤期間、休職期間ですが、あまり長い期間を定めることはおすすめしません。また、欠勤、休職期間中の給与についてですが、これも6割の給与を支払うなどの規定をおいている会社が多いですが、これもおすすめしません。うつ病の場合は、欠勤、休職が長期に及ぶ場合が多く、会社が思わぬ負担を強いられることになります。復職と休職をくりかえす従業員がでてくるのは、会社が給与を支払うからですからです。健康保険によっては、傷病手当金が支給されるので、それを活用したらいかがかと思います。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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