【第14回】職歴、健康状態などの確認

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【第14回】職歴、健康状態などの確認

2009年9月21日

佐藤物流は、近年売上高の落ち込みを回復するために、営業部長を雇うことにしました。営業部長の募集に、数名の応募がありました。その中に高橋さんという方がいました。高橋さんは、採用時の面接で、「私は、過去数十年にわたり営業職の経験があり、佐藤物流の売上をあげる自身がある」と述べました。佐藤物流の佐藤社長は、高橋さんに期待し、高橋さんを営業部長として雇うことにしました。佐藤物流が、高橋さんを営業部長として雇う上で注意すべき点は何でしょうか?


(1)職歴の申告を求める
 中途採用者の場合、これまでの職歴、退職理由が全て記載されているか確認します。「一身上の都合」と記載されていても退職の理由を具体的に聞いてください。退職の理由を聞くことは、個人情報保護法には触れません。

 個人情報保護法とは、個人の情報を集めることを禁止した法律ではなく、集めた情報をみだりに開示、漏洩しないという法律ですので、誤解があると思われるのですが、採用する際、前職を退職した理由を聞くことはかまいません。隠していることがあったり、都合が悪いことがあれば、具体的に説明できないはずです。

 具体的に説明できなければ採用するべきではありません。応募者が、前の会社から解雇されたのに「一身上の都合」により会社を退職したと嘘をつくことがあります。しかし、事前に職歴や退職事由を詳しく聞いておかないと、後々事実が判明しても、嘘をついたかどうかわかりません。トラブルや裁判になった場合、応募者(従業員)が職歴や退職理由について虚偽記載をしたことは会社に有利に働きますので、必ず詳しく聞いてください。

(2)健康診断を実施する
 入社後に実施しても意味はありません。入社前に実施してください。特に健康診断で注意していただきたいのは、高血圧、心臓疾患、高血糖です。

 あまり知られていないことですが、過労死=健康な人の突然死ではありません。過労死訴訟では、亡くなった元従業員の方は何らかの既往症を有しています。その中で多いのが、高血圧、心臓疾患、高血糖です。入社時の健康診断で、心電図検査、血液検査を行えばかなりの確率でわかります。特に見過ごされやすいのが高血圧です。一方、脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす可能性が一気に高まりますので注意をしてください。

(3)身元保証人をつける
 古典的な方法ですが大切なことです。親族1名と他に独立して生計を営んでいる親族をつけてもらいましょう。うつ病などで休みがちになり退職してほしいときに、独立して生計を営んでいる親族に間に入ってもらい事なきを得たことがあります。両親ですと感情的になりがちですが、他の親族であれば会社の言い分を理解してもらえる可能性があります。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

向井蘭弁護士

向井蘭 労働組合問題など使用者側の労務問題を主に取り扱っている。
モットーは、企業と従業員のハッピーな関係を追及すること。
経営者側の労働問題に関するお問合せは、「労務ネット」まで
URL:http://www.labor-management.net/

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