第391回:連鎖倒産の危機に

連載トップへ

第391回:連鎖倒産の危機に

2012年12月17日

(経営は生きものと言っていい。いつ何が起きるか、誰にもわからない。バブルとその後を健全経営で乗り切ったAさんだったが、思わぬところから危機がやってきた)

──バブルがはじけてほぼ10年後の平成13年、会社の事務所と社員食堂が区画整理の対象となり、取り壊さねばならなくなりました。私はそれを機に工場を一新、増設し、合わせて独身寮も建てようと計画しました。すでに工場の一号棟は建設以来33年、五号棟は28年も経っていたのです。私はさっそく商工中金に融資を申し込み、固定金利1.4%、15年返済の条件で3億円を調達し、すぐさま建設に着手しました。


 ところがその3か月後、忘れもしない9月5日です。当社の最大の取引先B社が倒産してしまいました。その負債総額は580億円、当社の債権は1億6800万円にものぼりました。一大事発生です。連鎖倒産の危機です。私は「冷静になれ、冷静になれ」と自分に言い聞かせ、帳簿をめくりながら結論を出しました。

 翌9月6日朝8時、私は全社員を集めた臨時朝礼で、B社が倒産したこと、当社の不良債権が1億6800万円にのぼること、しかし当社が連鎖倒産に巻き込まれることはないことを告げました。そして9時を待って他の大口取引4社に電話を入れ、当社が潰れることはないこと、製品は滞りなく提供することを伝えました。

 それからすぐに地元の中小公庫に電話を入れ、その日のうちに出向いて融資をお願いしました。公庫はすぐに応じてくれ、固定金利1.05%、期間84か月、毎月の返済額200万円で1億6800万円の融資が成立し、私はかろうじて連鎖倒産を免れました。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役 野口 誠一
電話番号:03-3835-9510(倒産110番) 
HP: http://yaoki.html.xdomain.jp/ 

野口 誠一 昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。

関連書籍のご案内

GoogleAD