第381回:成長カーブを描く

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第381回:成長カーブを描く

2012年10月 8日

 (注射針用のパイプ製造から撤退を決意したAさんは、懸命に次の展開を模索していく)

──新しい展開といっても、私の工場はパイプ製造が主体ですから、それ以外の事業は考えられません。では、どのような用途のパイプを製造するか、そこが問題です。私はスポーツ用品のパイプを思いつきました。たとえばゴルフクラブのスチールシャフトや、バドミントン用ラケットのシャフトなどです。


 そこに思い至った私は、すぐさまステンレスパイプなら注射針より太い3mm以上のもの、その他は鉄パイプの製造に切り換えました。とはいっても、ただちに顧客がつくわけでもないし、販路を開拓できるわけでもありません。切り換えたとたん、売り上げが40%まで落ち込みました。

 私は必死に新製品を開発し、顧客・販路を開拓しました。女性のハイヒールのカカトに入れる芯のパイプをつくったり、さまざまなスポーツ用品用のパイプもつくりました。そうした地道な努力を重ねた結果、徐々に業績が回復し、経営も安定軌道に乗りはじめました。その頃、新潟の米山製作所(現ヨネックス)の社長さんが、わざわざ当社に買い付けにきてくれました。これはうれしかったですねえ。そのあたりから私の経営は完全にテイクオフし、成長カーブを描いていきます。

 しかし、そうなればなったでまた問題が起きます。木造工場が手狭になってしまったのです。私はさらなる飛躍を期し、この際、木造にかえて鉄骨造りの新工場を建設しようと思い立ちました。が、そのためには設備投資資金が要ります。私はメーンバンクのM銀行へ融資の相談に赴きました。そしてそこで思いがけないことを言われてしまいました。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役 野口 誠一
電話番号:03-3835-9510(倒産110番) 
HP: http://yaoki.html.xdomain.jp/ 

野口 誠一 昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。
わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。

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